【改題】ひとり公論(IT公論)

アラフィフとなりIT土方卒業したのでタイトル変更しました
こちらはどちらかといえば再録中心

サポセンの矜持

2009-12-01 05:58:18 | IT土方(IT土方のスキルについて)
若い時分、サポートセンターにいた。2年ぐらい。

一応、技術サポートみたいなチームにいたけれどそんなの肩書きだけで、クレーム対応やらなんやら、とにかく何でも屋さん。

一次受付のオネエさんたちが受けたインシデントがエスカレーションされてそれに対応するっていうのが主なんだけど、その一次でぜんぜん防ぎきれないというか、「それぐらい対応しといてくれてもいいじゃん」みたいのばっかりでね。クレームもぜんぶスルー。なんでもかんでも「担当の部署から折り返しさせます」みたいな。
(一次受付の品質向上、ってのはサポートセンターの永遠のテーマだろう)

そんな、サポートセンターの中でもさらに技術サポートに巣食う人種は、やけにエンジニアを意識しているというか、ヘンなプライド高きヤツが多かった。ムカシのことだから、今はわからないけどね。
「オレはそもそもこんなところで電話受けてる人間じゃねえ!」と。


でもさ、そんなジャマなプライドを後生大事に抱えてたら、客のクレーム対応しててもストレスがたまるだけだ。

もしアンタが、アンタが描いている「一流のエンジニア」なのであれば、ある局面ではすっとそのプライドを引っ込めて、ビジネスに徹することができると思うよ。技術一辺倒ではダメだ、ということを知っているのが「一流」。要はね、いろんな「引き出し」「顔」を持つことだ。

ところで、僕はその現場で、それどころじゃなかった。まだ小僧だったから、そういうプライドのカケラすら醸成されなかった。そもそも技術サポートをするための技術すら持っていなかったから。
クレーム対応でも罵倒され。。(あー、イヤな思い出がよみがえる)

まあそんなグズでノロマなカメである僕も、だんだんと仕事をこなせるようにはなったけど、良くいえばずっと仕事に対する視線は「クール」で、おごることはなかった(ように思う)。いつまでたっても、仕事がこなせるようになっても慣れない、というか、そういう感じ。「今、そこで働いていること」すら疑問というか。。

もう1年ぐらいやれば慣れたのかもしれないけど、だんだんと、前述した自称カリスマエンジニアさんたちのように自分もなってゆくのはイヤだなあ、と思うようになり、思い切って転身した。
その転身先が、よりによって今自分が棲息しているインフラレイヤ。「行くも地獄、とどまるも地獄」だったなあ。。
(ハードのサポセンもインフラレイヤであるといえなくもないけど)


ところで、オイラが技術サポート屋さんだったころ、強く思っていたことがある。
(それを書きたかっただけなのに、前置きがものすごく長くなってしまった。

それは、技術サポートに電話してくる、パソコンオタク系なヤツらのこと。

オイラたちはサポセンのさらに技術サポートのくせに、高い確率で、そういうパソコンオタク系のヤツらよりも枝葉末節の知識はなかった。だから、よくそういうヤツら(半ばクレーマー?)に突っ込まれていた。「サポートなのにそんなこともわからないのか?」と。

偏見だけど、そういうヤツってしゃべりっぷりとか聞くと(顔はみえないので)大学生っぽいのが多かった。


でもね、僕らはゼッタイに、そういうクレーマーには「負けてない」という確信があった。「ふざけんなよコノヤロー」とココロの中で思っていた。その確信の根拠は「ヒトとして」みたいな。。

「ヤツら」は一日中マシンをさわっているような、部屋ん中がサーバルーム状態ぐらいの人種だ。そういう環境で育っていれば、小手先のスキルに詳しくなるのはアタリマエだ。
オモチャを買い足すように、マルチベンダ、マルチOSでサーバやPCを買い足してゆくような。。

それに対してオイラたちは、平日はほぼ1日中電話対応をしている。技術研鑽を行うのは夜だ。セミナーやったり勉強会やったりね。
たまに、通常業務を休んで外部セミナーに参加させてもらったりとか。
土日は、他人としゃべりたくもないし、マシンにさわりたくもない。(そのころ、僕の愛機は仕事とまったく関係のないMacだった)

それでも自分は、小手先のスキルはぜんぜんUPしなかったけど、何かしら「成長」している確信があった。それは、家で一日中マシンに向かうことによるスキルアップとは、おそらくまったく違う種類の成長だと思っていた。

電話の向こうのパソコンオタク系のやつらが「こっち」(つまり、サポセン)にきても、ゼッタイモノにならない(カネを稼げない)人材に違いない、という確信があった。

。。これが、「ビジネス」のスキルなんだよね、たぶん。そういうのが現在エンジニアに求められているモノなんだろう。



サポセンでは、ただひたすら電話を取って、エンドユーザや特約店や他ベンダーと会話やQAを積み重ねてゆくだけで、ビジネス・シーンで成長しているような実感があった。