絵画指導 菅野公夫のブログ

大好きな絵とともに生きてます

絵画指導について 2

2011-03-26 | 絵画指導
先ほど書いた小学校の先生について、弁護してみよう。

小学校の絵を見た時に、あまりにも横絵が多すぎるのだろうか?
どうして縦に描く絵がないのだろうと思えば、少し分かる気がする。
縦絵の方が良いのではなく、縦絵を描かせる先生がいないことへの反発か?

そして、あるベテランの先生から、「縦絵が多く出てくるということは、
先生がそのような指導をされているからで、指導の成果なんですよ」とでも
アドバイスをされれば、いくらか分かる気がする。

みんな横絵しか描かせないのを、なぜ縦絵がないのかと思って、何人かの子に敢えて縦に描かせたというなら
それは、やってみる価値がある。

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それでは、次の白黒は使わない方が良いについて。

これは、専門家でも淡彩画の指導をされている先生は、そのように言う人がいる。
鉛筆の下書きが見えているような水彩画を描く場合は、白は紙の白さを生かして
表現するという場合がある。

私はそういう絵は、本格的な絵ではなく、絵手紙や色紙程度の軽い絵の場合だと思っている。
とても油絵と戦えるような絵ではない。
本格的に描くなら、それではだめだ。例え黒く汚れてもいいからとことん描くというような
姿勢が必要である。

それは、さておいて、

ここでも弁護してみると、

子どもたちの絵を見ていると、黒を混ぜることで、ざらざらと濁った感じの色になって
他の色との感じが合わない気がすることがあるのだろう。だから、黒を入れると濁るから
なるべく混ぜないで描こうと言ったのだろう。
また、白を混ぜると、他の派手な色と比べて、色が鈍くなるので、合わないと感じたとすれば、
そういうこともありうることである。

だから、白と黒はなるべく使わない方が無難だなと感じたのかもしれない。

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しかし、それは、間違いであると思ってほしい。
何が間違いかというと、使わない方が良いというルールである。

使わない方が良いなら、なぜ絵具として売っているのか、絵具会社に文句を言わなければならない。
私は、逆に売ってなければ文句を言うだろう。それは、使うからである。
本格的な水彩画を描きたいなら、白黒を使わないのは無理だ。

実は、確かに白を入れると彩度が落ちるから、派手な原色と比べたら鈍い感じがする。
しかし、全ての色に白が含まれたような絵を見ると、実に品の良い素敵な味が出るのである。
そういう良さがあることを知ってほしい。
黒については、適当に混ぜると、濁ってしまうが、しっかり混ぜると汚れた感じがしない。
もちろん、量によって、感じが違うが。

マネが「黒はダイヤモンドだ」と言った言葉をご存じだろうか?
そのくらいすばらしい色だと言う事を知っていただきたい。
画面の中に黒が使えたら、それは画面を引き締める効果がある。
これは、デザインで学ぶはずだ。

私の経験では、下に緑の草原が描いてあって、その上に黄色い花を描いたりする場合、
そのまま着けると、黄色が透明色なので、下の色が見えてしまい、黄色い色が思うように着かない
ことがある。その場合は、黄色と白を混ぜて粘り気をつけると黄色い花が描ける。
白を混ぜることで、不透明になるからだ。黄色がそれより明るくなってしまうのが嫌なら、
乾いてからその上に更に黄色を乗せてもいい。

そうでないなら、初めから計算して、紙の白を使い、黄色い花の形を先に描いて、後から周りを描く
方法を取らなければならなくなる。細かい黄色い花がたくさんある場合などは、それはあまりにも
大変である。やはり、奥の物を先に描いて、後から黄色い花を描き込む方が描きやすいのと、感じが
出しやすい。

だから、白は必要である。
それと、灰色を作るには、白と黒を混ぜないでどうやって作るのか?と使ってはいけないとおっしゃる先生に
お聞きしたい。(赤、青、黄色を混ぜると灰色になることは知っているけれど、ある色の彩度だけを下げる場合は
非常にやりにくいと思う)
いろいろな色と灰色を混ぜることで、品の良い色がたくさん作れるが、それは白黒を使うのである。
静物画の背景などは、例えば花を描く場合、花はいろいろな色があって、その花を美しく見せるには、
背景が彩度を落とした方が良い。背景が派手だと、花の色が生きてこない。

だから、私は、花の彩度が高いので、背景に灰色がかった色で彩度を抑えると、なかなか素敵な絵になるよ。
と話している。

結論を言うと、白黒は使っても良い。いやむしろ必要である。
小学生に派手な色の絵ばかり描かせないで、灰色を混ぜた品の良い絵を
描かせてみるのも良いのではないかと思う。

勘違いしないでほしいのは、それをルールにしてはならないということである。
そういう絵もあって良いという意味である。白黒を使う方が良いと言うと、間違う。
使わない絵があってもよい。

派手な絵は、派手な絵で良い物があり、良くないものもあるが、
白黒の混じった品の良い絵もあり、鈍くて良くない絵もあるのである。















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絵画指導について

2011-03-26 | 絵画指導
絵画指導ということで、検索したら、私のブログが一番に出てきた。
あれーーーと驚いた。また、別の日に検索したら、ピカソがライバルトップというのが、
やはりブログに続いて二位になっていた。
しかし、それは、出てくるときと出てこない時がある。なぜかな?と分からないでいる。

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それはさて置き、他の人たちのものを見ていると、絵画指導という項目では、
幼稚園や小学生の絵の指導についての物が多い。

それで、少し、覗いてみた。

その中で、驚いたことがある。

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例えば、これは小学校の先生が書いたものだが、指導のポイントというものがあって、
30個くらい気をつける点が書かれていた。

その一番目に、縦絵と横絵のどちらがよいかということがあった。
その先生は、縦絵の方が良いと考えているらしい。
横絵はどっしり安定し過ぎてつまらないという事が書いてあった。
教えている子どもたちの絵が、縦絵が多いほど、良い指導だという感じの内容であった。

専門家がこれを聞いたら、何と思うだろうか?

私は、驚きである。

そんなことはないよとはっきりと言う。

確かに、縦絵の方がバランスがとりにくく、不安定になる分動きがあって
面白いのかもしれない。

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しかし、縦絵の方が、横絵より良いという結論は、どこを探しても出てこない。
困ったなあ、こんなルールをどこから導き出したのだろうか?
小学生を教えていて、たくさん絵を描かせているとそういうルールが出てくるのか、
それとも、先生方を指導するもっと経験豊かな先生が、そのようなことを言ったのか
とにかく、困ったなあと思った。

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私は、以前縦絵と横絵について、何かで書いた覚えがあるが、
描くものによって、縦絵にするか横絵にするかを決める。

例えば、人物を立たせて一人だけ描く場合は、縦絵にした方が良いとは思う。
それは、見るべき物が顔、手、足などと上から下に目が移動するからである。
それを横で描いたら全身を入れれば、左右の空間が空きすぎてしまうから、
縦に描くべきだと思う。
もっと言えば、人物の寝ポーズなら、見る角度にもよるが、横絵が良いと思う。
横に長く寝そべるからだ。見るべき物が左右に動くからである。

だから、結論は、縦絵か横絵かは、描く物によって違ってくるということである。
どちらが良いかは、その描く物によって違うのであって、縦絵が良くて横絵が悪いなどという
ことはないのである。

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また、絵は、長方形とは限らず、正方形もあれば、丸い絵もある。
もっと違う事を言えば、将棋の形の五角形の物さえあるのである。(ジョットの聖母の絵など)

そのそれぞれに置いて、ふさわしい物が描かれていれば良いので、
どの形が良い絵で、どの形が悪いなどということはないと思う。

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また、私は、縦絵と横絵について語る時、モデル組みで説明したように、
縦絵は縦の流れ、横絵は横の流れを作ると良いと書いた。
見るべきポイントが縦に移って行くのが縦絵、、横に移って行くのが、横絵である。
画家がなぜ、縦絵にしたのか、横絵にしたのかが分かるモデル組みにならないといけないと話した。

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いま、縦絵と横絵という事だけに触れたが、ちょっと困った。
このようなことが30項目もある。

それぞれについて、語りたいが、大変である。

実は、読んでみると、この先生はとても熱心な先生のように思える。
いろいろ何々式の指導法というようなことを学ばれている。
だから、批判するつもりはない。むしろ応援したい気持である。
しかし、読んでみた感じでは、ご自分が絵画体験がないようである。

自分が描かないで、指導法だけを学んでいるようだ。
小学校の先生は、全教科を教えなければならないから、全てのことを実践する訳にはいかないから
大変だと思う。しかし、参ったなあ。どうアドバイスしたらいいのだろう。
熱心な先生が大きな勘違いのような指導をしていると、それ以外はもっと大変な間違った指導をされているかもしれない。

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その他には、

※ 白黒は、使わない方が良い。
※ 色は全て塗らないで、紙の白を残す部分があった方が良い。
※ 人間を描くなら、手のひらサイズが良い。

などということも出ていた。
いろいろな経験から、そうした方が、良いと思われる絵に出会っているのだと思うが、
それをルールにしてはいけないということを知ってもらいたい。

ルールにすると、みんな同じような絵になってしまう危険がある。





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デッサンとは?

2011-03-26 | 絵のこと
デッサンとは何だろう?

この問いは、絵とは何か?と同じかもしれない。
ある人が、「絵はデッサンだよ」と言った。

そのくらいデッサンが重要だと言いたかったようだ。

私は、デッサンをしていて、とても楽しい。
その楽しみは何かなと考えると、白い紙に鉛筆が着いていく
喜びだろうと思う。
それが、いい感じで着いていくとき、楽しくなる。

まあ、逆もあるが。

いい感じでないと、悔しい。

ーーーーーー
いい感じに描けるときとは?

例えば、手のデッサンをしていたら、自分の描いた線が手の形を
的確に捕えて、見える通りに近づいた時、いい感じだと思う。

また、着いている鉛筆の感じが嫌味でなく柔らかく空間を捕えていたら
そう思う。

手前の物と奥の物が空間と共に捕えられて、その前後関係が画面に
現れてきたときにもそう思う。

また、鉛筆の強弱がリズムを作って、形をしっかり感じられるように、
良い場所に強く着いたりした時もそれを感じる。


クロッキーなどは、じっくり描くデッサンと違うので、じっくり描く
デッサンにはない魅力もあると思う。

限られた時間の中で、どの手段を施すか?
画家はその選択を迫られる。

だから、少ない手数の中で、勝負をするわけである。


最低でもどこを描くべきかという選択をしているわけだ。

じっくり描くデッサンなら、一か所を30回くらいやり直すことができるが、
クロッキーの場合はそうはいかない。

だから、その選択の面白さがある。
そこに個性が出るように思う。

ーーーーーーーーーーーーーー

今日の結論

デッサンとは何か?

「白い紙に鉛筆が着いていく喜び」

それは、形だけでなく、空間を表す喜びでもある。

クロッキーなどは、限られた時間の中での選択の面白さがある。
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