睡蓮の千夜一夜

馬はモンゴルの誇り、
馬は草原の風の生まれ変わり。
坂口安吾の言葉「生きよ・堕ちよ」を拝す。

散文:川は流れてほとばしる

2021-11-08 19:10:00 | 散文うたかたの記



見出し画像は今朝の品川サンライズ、
薄い茜色の空から出てすぐに黒い雲に掴まった。
雲一つない晴天よりは雲があった方がいい、
陰影は太陽の輝きを消し去り球体のシルエットを
見せてくれる。


いつものヘリがきた。
この機体は遠くにいても音ですぐわかる。
ここ品川に来たときからずっと馴染みのヘリになった。

ファーストエアートランスポート所有 JA12CJ Sikorsky S-76                    




今日は考えがまとまらない日で
インスピレーションやひらめきのひとつもなく
かといって出涸らしではない。

アタマはぐるぐるなんだけど出口が見つからない
詰まっているわけではなく、流れが速すぎる。

大きな滝つぼの深部に入り込むと浮き出ることが
難しい。間断なく頭上に落ちてくる激流の重力は
人間の浮力など屁の突っ張りにもならない。

深山分け入り難し嶮山の最深部の巌から沁み出る
一滴の水、集めてはやしの激流になる。
最上川だけでなくどの川も。

湖はたゆたふて
海は潮の干満に
川は流れてほとばしる。

子供の頃にやってみたかったのが砂利ふるい。
堤防の下に横一列に並んで木枠で囲った縦長の
ザルを前後に振っていた。
あれが子供の目には面白そうに見えたんだ。

姉さんかぶりのおばさんたちが男衆に
まじってたくましく砂利を振っていた。
あれからもう半世紀以上がすぎた。

四季それぞれに美しかった川沿いの鄙びた村が、
吊り橋が、神社が、鐘ヶ淵が、葡萄園が、分校が、
それらはみな大義のために湖底に没した。


18時をすぎて、
まだ青空がみえているのに雨が降ってきた。
いまのところぽつぽつだが、
これから本降りになり明日の夕方まで降るらしいよ。

今の時期の雨は冷たい
風邪などひかぬよう
どちらさまも
御身大切に。


また明日
Have a nice day!




5分と待たない天然美・最新毛玉取り器・いまごろ当選SHARPのマスク
昨日の落日はタワマンの裏に落ちた。あと5分待てばタワマンの右下に太陽が顔を出しそうな気配だが、ここでやめといた。タワマンの上を流れる雲形と色のミックス具合がよくて、だがこの天然造形......



dpnt
ほとばしったね
www


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3 コメント

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砂利ふるい (opn2goo)
2021-11-09 09:27:24
  職人だった父に仕事の入らない日、 近所の河川敷で砂利ふるいで日銭稼ぎをして生活していた貧乏だった子供の頃の我が家、 「砂利ふるい」の文字への反応です。
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あたたかい思い出 (睡蓮)
2021-11-09 10:41:52
相模川が大きく蛇行して流れる内側に瓢箪みたいに
突き出た村にぼくの生家があった。
玉石の堤防の向こうを流れる川と連なる低山と
神社の大欅がぼくたち子どもの遊び場だった。

堤防に作った隠れ家から砂利ふりのおっさんたちの
仕事ぶりを見ていた。中学生はへっぴり腰で砂利振り
の真似ごとをして笑わせてくれた。

なぜかさ、
砂利振りはあたたかい思い出として残っている。
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つづき (睡蓮)
2021-11-09 11:03:09
こどもたちの中に男に負けじと砂利ふるいの日雇いに
出ていたおばさんの息子がいて、ぼくの同級生だった。

おばさん曰く、おまえらのは砂利振りで、
おらぁのが砂利ふるいだとよくからかわれた。
彼と彼の母親は「ヨイトマケの唄」そのものだった。

母子家庭になったぼくの母は灯油の一斗缶を背負子に
かつぎ、ぼくの手を引き暗い山道を配達に歩いた。
背中が漏れた灯油にかぶれて真っ赤だった。
それでも泣き言は聞いたことがない、母は強し。

そういう時代だった。
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