2か月に1回、経絡按摩研究会に記事を掲載してもらっています。
今回は老子の言葉を掲載してもらう予定です。
《本文》
天下(てんか)の柔軟(じゅうなん)なるもの、
水に過(す)ぐるは莫(な)し。
而(しか)も堅強(けんきょう)を攻(せ)むる者、
能(よ)く勝(まさ)るあるを知る莫(な)し。
其(そ)れ以(もっ)て之(これ)に易(か)わるもの無(な)し。
(任信第七十八章)
≪訳≫
世の中に水より柔らかでしなやかなものはない。
しかも水は、柔らかでしなやかでありながら、
硬くて強いものでも、ひとたび攻めるとなると、
ついには砕いて粉々にしてしまう。
水に勝るものを私は知らない。
そもそも水に代わり得るものなどないのである。
≪矢野の感じた事≫
弱いものが強いものに勝ち、柔らかいものが堅いものに勝つと言う例は皆知っている。
しかしこの道理を体得して実行できる者はなかなかいないであろう。
田中勝先生は私達に、常、日頃から、手を柔らかく使うように指導してくる。
この柔らかさが、やさしく治療を行う人から、
難しい症状や強固な症状を治療するために必要なのだと思う。
鍛錬を続け、『水』のように柔らかでしなやか、かつ堅強なものも砕く、
『手』と『心』をつくっていきたい。