・・久しぶりに一目ぼれをした。だから人生は素晴らしい。魂を揺さぶる宇宙と冠した,グレゴリー・コルベールというアーティストによるセピア色の写真にだ。
水中から、泳いでいる象の姿とその象を見上げながら深く潜って泳いでいるコルベール本人(もちろんアクアラングやスウェットスーツなんてつけていない、独りの美しい人間の姿だ)、クジラの尾につかまって泳いでいる写真、豹に寄り添ってめを閉じている少年の写真、瞑想するミャンマーの少年僧の後ろにあたかも天使の羽のように鷲が羽を広げ飛ぼうとしているところ・・・どれも息を呑む世界を内包しているのだ。
この展覧会は六本木でもやっているが、11日から6月の24日までノマティック美術館という、東京テレポート駅前に建てられたそれ自体魅力的な場所で開催されるらしい。http://www.ashesandsnow.org/
http://roppongihills.com/jp/events/macg_animal.html
奇しくも、この写真を雑誌で見つける直前、家族で井の頭動物公演に行っていた。
久しぶりに動物園に行こうよ、とのパートナーの提案だった。
散歩ていどのつもりで行ったそこは、私にとっては小学校の遠足以来、実に三十年ぶり以上の場所だった。
それなのに、なんと還暦を迎えたという象のはな子は、当時の遠足でみたその姿でまだ生きていてくれた。
サル山も同じところにあった。不思議なタイムトラベルをしているようだった。
若かった母、母の手作りのジャンバースカートをはいていた当時の自分、一緒にいった幼馴染や級友の顔、もうとっくに潜在意識領分にいってしまっていたこれらのものが匂いやざわめきまで伴って私の心に立ち昇って来た。
・・・人生はこんなに長いのにこんなに一瞬だ。
大きな、重たすぎる身体を支えながら、仲間もなく、ひとりで日本の動物園で生きてきたはな子の、草をはむ姿にいいしれぬ感動をおぼえながら、心の中で『ありがとう』と言ってみた。もしかして、テレパシーが通じてもおかしくはない、そんな気がして仕方がなく、ずっとみつめていたが振り向いてはくれなかった。
あの頃、子供の足では一日かかったように広く感じた動物園も、昨日は一時間足らずでのんびり一周できてしまった。ああ、やっぱり大人にはなっていたんだ。あのままではなかったんだ。あらためて寂しいような安心したような気がした。
その帰宅途中の書店で、コルベールと象の写真にめぐり合った。
もしかして、これは、はな子から遅れて届いたテレパシー返事だったのかもしれない。
追伸:そうそう、動物園の売店に『象のフンからできたペーパー』という 素晴らしい発色の夢のある文具が並んでいた。
まさかと思うくらい素敵な商品たちだが、正真正銘、象のフンからリ サイクル(だって草だものね)したというものだった。
久しぶりに幸せになれる買い物をした。みんなにあげたい、知らせた い、買い占めようかしらと本気で考えてしまったが財力が伴わない・
ネットでも買えるらしいので興味のある方はぜひ。
http://www.michi-corp.com/maximus/
水中から、泳いでいる象の姿とその象を見上げながら深く潜って泳いでいるコルベール本人(もちろんアクアラングやスウェットスーツなんてつけていない、独りの美しい人間の姿だ)、クジラの尾につかまって泳いでいる写真、豹に寄り添ってめを閉じている少年の写真、瞑想するミャンマーの少年僧の後ろにあたかも天使の羽のように鷲が羽を広げ飛ぼうとしているところ・・・どれも息を呑む世界を内包しているのだ。
この展覧会は六本木でもやっているが、11日から6月の24日までノマティック美術館という、東京テレポート駅前に建てられたそれ自体魅力的な場所で開催されるらしい。http://www.ashesandsnow.org/
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奇しくも、この写真を雑誌で見つける直前、家族で井の頭動物公演に行っていた。
久しぶりに動物園に行こうよ、とのパートナーの提案だった。
散歩ていどのつもりで行ったそこは、私にとっては小学校の遠足以来、実に三十年ぶり以上の場所だった。
それなのに、なんと還暦を迎えたという象のはな子は、当時の遠足でみたその姿でまだ生きていてくれた。
サル山も同じところにあった。不思議なタイムトラベルをしているようだった。
若かった母、母の手作りのジャンバースカートをはいていた当時の自分、一緒にいった幼馴染や級友の顔、もうとっくに潜在意識領分にいってしまっていたこれらのものが匂いやざわめきまで伴って私の心に立ち昇って来た。
・・・人生はこんなに長いのにこんなに一瞬だ。
大きな、重たすぎる身体を支えながら、仲間もなく、ひとりで日本の動物園で生きてきたはな子の、草をはむ姿にいいしれぬ感動をおぼえながら、心の中で『ありがとう』と言ってみた。もしかして、テレパシーが通じてもおかしくはない、そんな気がして仕方がなく、ずっとみつめていたが振り向いてはくれなかった。
あの頃、子供の足では一日かかったように広く感じた動物園も、昨日は一時間足らずでのんびり一周できてしまった。ああ、やっぱり大人にはなっていたんだ。あのままではなかったんだ。あらためて寂しいような安心したような気がした。
その帰宅途中の書店で、コルベールと象の写真にめぐり合った。
もしかして、これは、はな子から遅れて届いたテレパシー返事だったのかもしれない。
追伸:そうそう、動物園の売店に『象のフンからできたペーパー』という 素晴らしい発色の夢のある文具が並んでいた。
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