運命と出会う瞬間

映画・小説・音楽・・なんでもありの気ままな感想

タミフルとバッハと宇宙

2007年03月22日 15時50分22秒 | Weblog
息子がインフルエンザB型と診断された。が、しかし、今話題のタミフルを処方されたが、飲むことも無く翌日には体温も37度に、そして今日はもう36度台で、外出できぬエネルギーをもてあましている、恐るべし!片道45分くらいの徒歩通学をして鍛えられているからか、毎朝の冷水まさつ(水でしぼった和手ぬぐいで全身をこするのだ)が効を奏しているのか、この調子だと全治三日間のインフルエンザで済みそうだ。

しかし、その間、親も缶詰め。
いつもより丁寧に片付けたり玄関や床を水拭きしたりしてもまだ時間があるので、久しぶりにピアノ(といってもやっと買ったクラビノーバだ)の前に座ってじっくりハノンの指馴らしから始めた。
私は、このハノンが好きで、単なる指の練習で音階の上がり下がりを繰り返すバリエーションなのだが、これをやっているとあっというまに一時間くらいすぐ経ってしまう。特に10番とかの上がりきって下がる一瞬のあの和音とかなんて、バッハとかと共通するものがある。。なんて思っているのは私くらいか。
 しかし、私も子供のときは、よくあるように、練習曲が嫌で嫌で、勝手に好きな曲が弾いていたくて、結局先生と反りが悪くなって辞めてしまった。
人生をやり直したいとか、後悔の思いとかは無いと、ふだん言っている私だが、ことピアノに関してだけは、もうちょっと我慢してコツコツ続ければよかった・・そう思ってしまう。

そういえば、いつか、そんなピアノの音を背景に創ってみたい映像がある。
それは、バッハの平均律だけが奏でられるなかでひたすら踊るように動いている素粒子の姿。雪の結晶がくるくると舞うように。グールドが弾くコールドベルグ変奏曲でもいい。なんだか、バッハの音楽を聴いているといつも、宇宙が動き続けているのと呼応して命の細胞の一番小さな部品がチラチラと動いている様を思い浮かべてしまうのだ。音の不思議さ、根源さ(そんな言葉はないか)、完全さよ。

あ、いや、しかし、今日はバッハではなくてハノンだった。
そう、グールドのようにバッハをよどみなく引き続けていられない私は、せめてハノンで音階の旅をした気になっているのだ。
ああ、若き日の怠惰はかくも祟る・・しかし、音符をよみ、指を動かす作業は、記憶障害、ボケ封じには良いらしい。

インフルエンザがB型とわかる前は、一瞬、鳥インフルエンザだったらどうしようと案じた。だって、タミフルってその特効薬だと聞いていたから。
検査してプラスなら48時間以内に飲まないと・・と、今回ニュースで10代への使用禁止が報じられるわずか一日前に医師からそう言われたのだ。
あぶないなあ・・飲んじゃうとこじゃないか。
日ごろから薬嫌いで、不信を抱いているからつい慎重になって飲ませなかったがよかった。
ほら、もう、あんなに退屈して、あんなによく食べている。
菌を撒き散らさなくなるという日まであと一日。
明日はどうやって過ごさせるかなあ。