運命と出会う瞬間

映画・小説・音楽・・なんでもありの気ままな感想

草花と雑草の宝庫(借り暮らしアリエッティ)

2010年08月01日 22時59分41秒 | Weblog
夏休み、春休み、休校日、と、幼稚園のときから小学校のあいだ、
ずっと息子のお供をしていった
遊園地のそばにある映画館から、
ポイントが溜まっていることと、有効期限が切れそうな知らせが届いた。

練馬から、大好きなすいた電車でひと駅乗るとその映画館がある。

春には桜が美しく、夏にはプールのない
息子の学校の水泳授業の場所となる遊園地を懐かしみながら映画館に入った。


期限を延長してもらうと2本無料で観れるうちの一本を、
「借り暮らしのアリエッティ」の最終上映にした。
ほかに、みるべきものがなかったから、というのもあるけれど、原作がメアリー・ノートンの「床下の小人たち」なのに惹かれたから。

素晴らしかった・・・、ジブリの生み出す世界はもう、完璧にアニメの粋を超えてまごうことなき芸術だと思った。
紫蘇の葉、ねじり花、はこべ、名も無き雑草・・・が、本当に生命があるように揺れて、風が抜ける。

地面があるのだ。

滅びゆく一族であるかもしれない、小人たちが、現代の私たちと同じようなおしゃれをして、素敵な雑貨に囲まれていることは矛盾しているけれど、きっと、本当だったら裸足で植物をまとっていたりするのかもしれないけれど、でも、そこはわざと、重要な小道具となっている。

心臓の弱い、家族の愛に恵まれない清らかな少年。

勝気なアリエッティの勇敢さ、正直さ。

世界の違う二人の、種族の違う二人の、それでも、通う純粋な何か。

ともにいることはできなくても、認め合うことのすばらしさ。


「守ってくれて、ありがとう」


別れるときに、アリエッティが大粒の涙を盛り上がらせる。

そうだ、女の子は守られてはじめて価値がでる。

私がいままで大事にしてこなかったこと。


守られる前に、守ることばかりをあたりまえにしてしまい


あとから、足りなかったとか、ちがったとか、責めたてられるなんてことをしてしまっていた。


それでも、守りたいものがあったから・・いい。


わかられなくても、忘れられても、守れていたそのこと、そのときが


どこかの時空には刻まれているから、それでいい・・・。


今度は、もっとたくさんのものを守れるようになった私を


だれかが守ってくれるって、いえ、もうすでに、見えないたくさんのものに守られていることを

「借り暮らし」の部屋に帰る道を、ありがとうって、嬉しくなって、笑いながら、胸をふくらませて帰るのでした。