2年ほど前、人生初の内視鏡検査で大腸がんが見つかり即入院、その一週間後に手術した。ステージ3ーa(ステージ0,1,2,3-a,3-b,4と5段階)で腸のリンパにも転移していた。手術で20センチくらい大腸を切除してもらった。
幸い転移しやすい肺と肝臓には今のところ転移なくこの2年間異常がない。半年に一回ペースで胸と腹部のCT撮り血液検査、1年に1回は内視鏡で大腸全てを検査することになっている。術後5年間で再発しなければ、再発率は極端に落ちる。
1年前の内視鏡検査で2ミリ程度の小さなポリープがあって、まだ小さいから大丈夫ですと言われていた。今回は5ミリ程度に大きくなっていたから切除した方が良いということで一泊することになった。
この半世紀の医療技術の進歩には目を見張るものがある。日進月歩で病気の治療技術が進歩している。
しかし、他の学問と同様に人間がこれまで解明した、発見した事柄は、自然科学の分野で1%にも満たないごく少ないもの。その中には解明して自然の摂理を人間が操作しない方がいいこともある。
がんという病は、日夜世界中の研究者、医療従事者が血眼になってその治療法を模索しているが、決定打が見つかっていない。
自分自身の細胞が突然変異して増殖し続けることにストップをかけて根絶するのに、切除しか最終手段がないのが現状である。発生のメカニズムとか転移の様子はほとんど解明されているのに、それを阻止する手立てが見つかっていない。
ある意味、がん細胞はけなげな自分自身の細胞である。痛めつけられて損傷した細胞を修復しようと頑張った果てに、頑張り過ぎて細胞分裂を止めなくなった自身の細胞である。その突然変異にも遺伝的要素と後天的要素があるらしい。
私も研究者のはしくれである。同級生や大学時代の友人でがん治療に取り組む医師や研究者たちがいる。彼らにいろいろとお世話になったし、現状の確立されたあらゆる治療法を教えてもらった。
お金をかければ必ずしもベストな治療が受けられるわけではない。その患者さんの経済力と身体の状況、その治療法に適しているがん細胞がどうかは、試みてみないと分からないことが多いらしい。
さあ、これから無事退院。今日の朝食(おかゆ)が32時間ぶりの食事だった。これから美味しいラーメン食べに行ける。