日経春秋 2011/8/10付
<form class="JSID_basePageMove JSID_baseAsyncSubmit cmn-form_area JSID_optForm_utoken" action="/async/usync.do/sv=NX" enctype="application/x-www-form-urlencoded" method="post">「温泉宿の廊下から、ぬれ手拭(てぬぐい)をさげて、山々を遠望していると、一種の自責といっては大げさだが、何かなすべきよりよきことを怠っているといった感じをまぬがれない」。休暇をとって何日か高原で過ごすと、ふとこんな気持ちが襲ってくることはないか。
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▼文章のたたずまいが少々古めかしい。じつは終戦の4年後、長野県の志賀高原に滞在していた仏文学者・桑原武夫が記したものだ。40代半ばになった彼は「そうした圧迫感は年とともに薄らいできた」と続けている。焦燥にも似た感覚は、若さが持つ特権でもあると言いたかったのだろう。