http://www.utobrain.co.jp/review/2005/060100/
から
顧客満足度が重視される今の時代には、「顧客のために」という意識こそが求められていると思われがちだが、「これには“本当のようなウソ”がある」と鈴木氏は言う。「私達が“顧客のために”と考える時にはたいてい、自分の経験をもとに“お客とはこういうものだ”“こうあるべきだ”という決めつけをしています。だから、やってみてうまくいかないと、“こんなに努力しているのにはお客はわかってくれない”と途端に顧客を責め始める。これは努力の押し売りにすぎません。あるいは、“顧客のために”やっていると言いながら、そこには売り手側の都合が無意識のうちに入っていて、実態はその押しつけになっていたりする。今の時代に本当に必要なのは、“顧客のために”ではなく “顧客の立場で”考えることです。“顧客のために”は自分の経験が前提になるのに対して、“顧客の立場で”考える時は、自分の経験をいったん否定しなければなりません。」
「“顧客の立場で”考えて、顧客にとって都合が良く、便利だったり、快適だったりすることは、たいてい売り手にとって都合の悪いことが多い。しかし、それを実行できる店や企業が顧客の支持を得ることができるのです。大切なのは、発想の仕方を変えることです。“お客は素人、自分たちは専門家”と考えて、これまで通りのやり方を続けていたら、とても顧客のニーズに応えられません。…変化に対応できない人は、変化を見ようとしないわけでも、見ることができないわけでもありません。見ようとしても変化が見えないのです。過去の経験が作り出したフィルターがいつも目に掛かっていて、フィルターを通すとマーケットの変化が消えてしまうのです」。人間はややもすると、思考や感覚にフィルターが掛かりやすい。それを日々払拭していかないと、変化に置き去りにされる。