経営者に今必要なのは「見切り千両、無欲万両」 松井証券社長・松井道夫氏
日本経済新聞120216抜粋
■最後の円高かもしれない
とんでもない財政赤字という爆弾を抱えている日本なのだから、円高がずっと続くという読みは甘過ぎる。ひょっとしたら、今は最後の円高かもしれない。チャンスは矢のように飛び去ってしまう。その後ろ姿を眺めて残念と呟いても後の祭り。戦略も何もなく五月雨式にその場しのぎを繰り返して時間を浪費していたら、会社なら経営者解任ものだ。もっとも、今の日本は経営者不在の会社みたいなものだから、「それを言っちゃお終いだよ」という寅さんの台詞でその辺はゴマかすしかない。
智恵には金がかからない。井原西鶴が日本永代蔵で言っていた「始末(倹約)十両、儲け百両、見切り千両、無欲萬両」という言葉を噛みしめている。今、日本の経営者に必要なのは見切りであり、その先に無欲がある。無欲とは、智恵を出してイノベーションをせよ、という意味だと私は解釈している。これは日本という国にも当てはまるのではないかと思う。