新刊『安岡正篤 心に残る言葉』(藤尾秀昭・著)から
●【萬燈行】
内外の状況を深思しましょう。
このままで往けば、日本は自滅するほかはありません。
我々はこれをどうすることも出来ないのでしょうか。
我々が何もしなければ、誰がどうしてくれましょうか。
我々が何とかするほか無いのです。
我々は日本を易(か)えることが出来ます。
暗黒を嘆くより、一燈を付けましょう。
我々はまず我々の周囲の暗を照す一燈になりましょう。
手のとどく限り、至る所に燈明(とうみょう)を供えましょう。
一人一燈なれば、萬人萬燈です。
日本はたちまち明るくなりましょう。
これ我々の萬燈行であります。
互に真剣にこの世直し行を励もうではありませんか。
●【思考の三原則】
私は物事を、特に難しい問題を考えるときには、
いつも三つの原則に依(よ)る様に努めている。
第一は、目先に捉(とら)われないで、出来るだけ長い目で見ること、
第二は物事の一面に捉われないで、出来るだけ多面的に、
出来得れば全面的に見ること、
第三に何事によらず枝葉末節(しようまっせつ)に捉われず、
根本的に考える
ということである。
●【学問は人間を変える】
学問は人間を変える。
人間を変えるような
学問でなければ学問ではない。
その人間とは他人のことではなくて
自分のことである。
「他人を変えようと思ったならば、
先ず自分を変えることである。」
●【健康の三原則】
第一に心中常に喜神を含むこと。
(神とは深く根本的に指して言った心のことで、
どんなに苦しいことに逢っても
心のどこか奥の方に「喜びをもつ」ということ。)
第二に心中絶えず「感謝の念」を含むこと。
第三に常に「陰徳」を志すこと。
(絶えず人知れず
善い事をしていこうと志すこと。)