三木正夫 好きです須坂! がんばろう!

信州須坂から徒然なるままに様々なことを書き記してまいります。

政治 怖い空気

2011年02月12日 | Weblog

日経春秋 110211

「空気」とは何か――。「それは教育も議論もデータも、そしておそらく科学的解明も歯がたたない“何か”」なのだと、山本七平は有名な「空気の研究」に書いている。たしかに世間に漂う空気というものは、しばしば分別も理性も超える。

▼昨年の今ごろ、米国で燃えさかっていたトヨタ自動車へのバッシングも「空気」の仕業だったのだろうか。トヨタ車の電子制御システムに欠陥があるとの見方が広がり、議会は公聴会に日本から社長を呼んで感情もあらわに責め立てたものだ。証言台で涙ながらに「恥を知れ」と訴えたレクサスのユーザーもいた。

▼なのに、拍子抜けするような結末である。米運輸省などは電子制御系の欠陥を完全に否定し、安全宣言を出した。ラフード運輸長官は「わが娘にもトヨタ車をすすめた」のだそうだ。昨年は「運転しないように」とまで呼びかけた人とはとても思えぬ気遣いだが、この1年間に世界のトヨタが負わされた傷は深い。

▼米自動車メーカーの凋落(ちょうらく)とトヨタの躍進。近づく中間選挙。騒動をあおったのは、クルマの工場がある選挙区の議員が多かったという。それを考えれば、かの「空気」も成分がはっきりしていたのかもしれない。グローバル展開を進める企業もそれを支える政府も、しっかりと「空気の研究」をしておくにかぎる。


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