エボラ出血熱の高い致死率。しかし100%ではありません。その、少数の生還者がおかれた現実が報じられています。
- Abdullah D.氏、29歳男性、商人、2児の父、は3月、発熱・頭痛・脱力のため、コナクリ―の病院を受診した。診察医はただちに感染症専門医をよび、Donka病院に隔離入院の手配をとった。
- 隔離病棟で10日間をすごし、もう子供たちには会えないかと思った。
- WHOから派遣医師いわく、彼が到着時には衰弱が激しく助かるかわからなかった。しかし隔離病棟に収容してケアすることで生還の確率をあげることができると。
- 特異的な治療はなく、経口・点滴補液、抗生剤、消炎剤、栄養などでケア。
- 今回の流行で感染者のうち過半数はなくなっているが、この病院だけでも9例が回復し良好な健康状態で帰宅している。
- しかし回復してもエボラとの闘いはおわらない。帰宅しても、病気を恐れる近所の人々のスティグマにさらされる。Fanta S氏は24歳女性、回復しエボラ陰性が確認されたが、スティグマの視線を感じている。多くの人々は、自分が回復して戻ってきたことにショックを受けたように、まるで幽霊を見るような視線で自分を見る。家族は理解をしてくれたが、自宅の部屋にこもって泣き明かした。いまでも、仕事にもどれるかどうかわからない。
- 前述のAbdullah氏は5日間の闘病を経て回復したとき、まるで自分が生き返ったような気がして、子どもを抱くのを待ちきれなかったと語る。そして、感染した人みんなに、病院に行くべきであるとアドバイスしている。
現地でエボラは死の病ととらえられており、生還すること自体、あの世から生き返り、ゴーストみたいに見られているようです。そして激しい偏見にさらされる。こんな事情も(医療費が払えない問題に加えて)あり、回復者に「感染した人みんなに、病院に行くべきである」と呼びかけてもらわねばならない状況にあります。WHO/MSFはじめ国際社会の支援を得て、医療費の問題は何とかなっているとして、この偏見の問題がメインにのしかかっているのでしょう。
感染者への偏見。感染者が(社会全体のなかで)少数者・異端者としての存在になることから生じてきます。人が不安になったとき、どう処理するか、4つほどパターンがあるなかで、他者を否定(批難)して自分を守るというパターンがあります。ハンセン氏病、HIV、09年最初のころのH1N1、SARSなどなど。この偏見問題が解決するには、H1N1がたどったような「ががっと拡大して、みんながかかる普通の病気になる」のが早道ですが、エボラではそうゆくはずもなく、啓発教育をしようにも、文字の読めない方々の多い(アフリカの病院では文字の読めない人向けに解説するための絵画が常備されている)現地ではこれも困難でしょう。
受診がなかなか期待しづらい面はどうしても残り、いかにアウトリーチを能率よくやるかが問われています。
ソースはWHO
http://www.who.int/features/2014/ebola-survivors/en/
Surviving a deadly virus – some in Guinea have recovered from Ebola