新型インフルエンザ・ウォッチング日記~渡航医学のブログ~

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コンゴの泥沼エボラの現場で幼児がおかれたやるせない現実

2019-06-01 09:20:42 | エボラ出血熱・EVD・エボラ・エボラウイルス感染症

コンゴのエボラの現場で、5歳未満の子供が受けてる扱いが、あまりに可哀想な数字にあらわれているというお話。

親がエボラ専門施設に連れてゆこうとせず(専門施設で治療うけられる率が低く)、接触者リストに載ることも少ないからワクチン受けられず、5歳以上と比べて明らかに死亡率が高い・・と踏んだり蹴ったりです。

  • 5歳未満の感染者、最初の最寄り医療機関への受診ははやいが、エボラ疑いでも専門施設に連れてゆかずに、複数の地域の医療機関をドクターショッピングの傾向。
  • 専門施設にアクセスできず、接触者リストにも載らないから、ワクチン接種率も他の年代に比べて低くなる。5歳以上では41%が載るのに対して5歳未満では28%。WHOのサーベイランスに載るのも5歳以上20%に対し18%。
  • 実際に数字にもあらわれており、死亡率は5歳以上57%に対して5歳未満77%。この考察として、5歳未満ではエボラ専門施設にてケア受けられることが少ないこと、ベースの高死亡率、接触者リストに載らずワクチン受けられれないことが挙げられている。
  • 専門施設でケアされたケースの死亡率は5歳以上39%、5歳未満50%。対して専門施設でケアできなかったケースでは、5歳以上68%、5歳未満86%。

昨今の日本で話題になる幼児虐待の話とはまったく別、というか、むしろ正反対のメカニズムで起こっているやるせない話です。5歳未満の子供を、初発ではすぐにもより医療機関に連れてゆくけれど、家から遠く離されてしまい顔も見れなくなってしまうから、遠いエボラ治療施設に入れることを躊躇する。近くの医療機関でなんとかならんかと模索する。いつまでの専門治療に至らない。当局のリストに入ると引き離されてしまうかもしれないから、ナイショにしておく。するとワクチンも受けられない。結果、専門施設に入れた幼児に比べて30%も高い死亡率になってしまう。。。

親の愛情が、かえって死亡率を高めてしまっている現実、これも泥沼の一端ではあります。多少は思い込みも入っているでしょうから、リスクコミュニケーションの強化で”若干は”事態の改善はあるのかもしれませんが、しかし・・・

http://www.cidrap.umn.edu/news-perspective/2019/05/new-data-show-gaps-ebola-treatment-young-kids

New data show gaps in Ebola treatment for young kids

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