ジカウイルス感染症。人々は何を理解して何を誤解しているのか。そこが明らかになれば、リスクコミュニケーションの勘どころになります。ハーバード公衆衛生が良い仕事をしています。
- 全米1275世帯に電話調査。うち105世帯は妊婦含む。
- ジカウイルス感染症が蚊によって媒介されることを知っていたのは87%
- 夏になれば蚊対策をやると言っているのが約2/3.
- 55%がリペラント(虫よけスプレー)使用、56%が水たまり対策をやると。
- ジカウイルス感染症のケースが自分の地域に出てきたら、地面の薬剤散布に同意するのが81%、薬剤の空中散布に同意するのが66%。
- 性交感染することを知らないのが40%
- 咳やくしゃみで飛沫感染すると思っているのが31%
- 感染した妊婦は、将来にわたってずっと、先天性異常児出産のリスクが高いと思っているのが40%(ジカウイルスが血中に存在するのは1週間前後。それ以外に体内にどれぐらい期間とどまるのか正確に明らかにはなっていないが、ずっと永続することはない)
注意が必要なのは、少なからぬ割合で、ジカが飛沫感染すると思っていることです。MERSやSARSで見られたごとく、ある病気Xが飛沫感染するとなると、その感染者に近づくとヤバイと考える人が一定数発生して、その感染者を排除しようとする差別的動きに結びついてきます。ジカに関連して流言や陰謀論が発生しやすいのはごく初期に証明づみですから、ここのところ要注意です。我々医療者(マスコミの大部分も)は、ジカウイルスが蚊媒介でくしゃみで感染したりしないのは「言うまでもない常識」だと思っていて、だからこそこの部分が落とし穴になる気がします。夏以降、日本国内感染が本格化してきたらくどい程強調すべきところでしょう。
一度ジカウイルスに感染してしまった女性が、ずっとずっと小頭症出産リスク・・・という誤解もまた、結婚に反対されたりといった形で問題化しそうです。
水たまり対策をちゃんとやりますと言ってるのが55%というのも頼りない数字ですが、ここらへんはシンガポール政府がデング対策で、水たまり放置世帯からビシビシ罰金を取り立ててデングを減らしたように、やりようはあるのでしょう。性交感染を知らない人40%というのも、リスコミ頑張りましょうということで。
https://www.statnews.com/2016/03/29/zika-poll/
1 in 3 Americans think you can catch Zika from a sneeze