MERSの感染
拡大がメッカ巡礼、10月のハッジで感染拡大が懸念されていますが、では、本当にメッカ巡礼でウイルス拡大するの?という疑問もあります。いまのところ、メッカの押し合いへし合いの写真を見て”一目瞭然”だと思い込んだり、髄膜炎菌の前例あたりでしょうか。
しかし、昨年2012年のハッジで、ライノウイルスにしっかり感染していた!というお話。
- フランス マルセイユ大チームの報告。
- 2012年のハッジ期間中に、ライノウイルスの感染拡大がみられた。
- 2012年のハッジ期間中に、マルセイユからメッカ巡礼にでる巡礼者165名に前向き調査。出発前にスワブ採取し、帰国後と比較。11種のウイルス検索。この、出発前の時点では、4.8%に少なくとも1種のウイルス検出。ライノウイルス5例、インフルエンザC1例、エンテロ1例、アデノ1例。
- 巡礼中に不調をうったえ検体採取した70例では、38.6%で少なくとも1種以上のウイルス検出。ライノウイルス19例、インフルエンザA6例、インフルエンザC、RS,アデノ、パラミクソ、エンテロ各1例づつ。
- サウジを出発する前(帰国前)の検体154例では、11%に1種以上のウイルス検出。ライノウイルス13例、アデノ3例、インフルB1例、エンテロ1例。
- これらの所見から、巡礼中に容易にウイルス感染をして、また、それが持ち帰られることがわかる。
- 巡礼では、疲労と極端な気候条件ということに加え、多くの国々からの人々が閉鎖空間で高密度に接触することが避けられずに、感染リスクが上がる。
メッカ巡礼でウイルス性呼吸器感染症が感染拡大しうること、それが世界に持ち帰られて拡大しうることがデータとして明らかになった報告です。そういう構造が確かにあるところにMERS-CoVが入ってきたら・・・というストーリーにお墨つきを与えるデータ。
このような研究が実行可能なフランスという国、それだけリスクも高いわけで脅威度も違ってきますね。
ソースはhealio
Respiratory viruses spread quickly during 2012 hajj pilgrimage
Benkouiten S. Clin Infect Dis. 2013;doi:10.1093/cid/cit446.