こんにちは。副住職のトクです。
廊下や壁の拭き掃除をしていると、必ず思い出す話があります。
それはお釈迦さまの弟子の一人「チューラ・パンタカ」の話です。
チューラ・パンタカは何をするにしても物覚えが悪く、お経の暗誦や瞑想の方法を覚えることができず、大変苦労していたそうです。
ある日、そんな自分に嫌気が差したチューラ・パンタカは「弟子を辞めようと思う」とお釈迦さまに相談しました。
話を聞いたお釈迦さまは彼を引き留め、一枚の白い布を彼に渡しました。そして、「垢を取ること、塵を払うこと」と唱えながら掃除をしなさい、と彼に命じました。
チューラ・パンタカは自分を引き留めてくれたお釈迦さまを信じ、言われた通りにしました。
黙々と掃除をしていると、白い布が塵や汚れ、そして自分の手垢で汚れていくことに気が付きました。すると彼は
「最初は真っ白だった布が、今や塵や手垢で黒く汚れている。この布のように、この世の全てのものはいつまでも同じ状態なものなどない。つまり諸行無常なのだ!」という事実に気がついたのです。
その様子を見たお釈迦さんは「その布だけではなく、あなたの心も執着という垢で汚れているのです。心の垢を綺麗にしなさい」と付け加えました。
こうした何気ない掃除を通して、チューラ・パンタカはとうとう悟りの境地にまで上り詰めたとされています。
掃除ひとつ取っても、真剣に行うことで気づきや閃き、そして悟りのきっかけにもなる。そんな大事なことを気づかせて貰った、お気に入りの逸話です。
【参考】ブッダ物語(岩波書店) 著作 中村元・田辺和子
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