横浜市教育委員会は8月4日に、新しい歴史教科書をつくる会編集の自由社版歴史教科書を市内の18採択地区中、8地区(港南・旭・金沢・港北・緑・青葉・都築・瀬谷。145校中71校)で採択しました。今このことが大問題となっています。
2005年の東京都・滋賀県・愛媛県・杉並区・大田原市の教育委員会が扶桑社版教科書を採択したことに対する抗議や批判の声は相当あったと思ったが、どうやら当該地はもとより、全国各地の市民・諸団体、韓国をはじめアジアの人々や団体からもあったようで、今回も扶桑社版・自由社版を採択しないことを求める要請が横浜市教育委員会に多数寄せられていたということです。
自由社の教科書は太平洋戦争を「『自存自衛』のための戦争」と描くなど、扶桑社の「新しい歴史教科書」と同じように、侵略戦争の美化の立場にたっています。今後横浜市の約13000人の中学生がこの教科書を使うことになると思うと、なんだか大きな不安を覚えます。
今子どもたちに大切なことは、侵略戦争と植民地支配についての歴史の真実を伝えること、戦争なんてものは二度と起こしてはならないこと、日本は過去の戦争の反省の上に立ち、日本国憲法を決め、そこには憲法9条によって戦争につながる一切を寄せ付けないばかりではなく、戦争放棄という世界に誇る平和の源泉が存在していることをしっかりと伝えていくことだと思うのです。
折りしも今日は原爆記念日。広島に原爆が投下され多くの尊い命が犠牲となった日。式典では麻生首相による「挨拶」という場面がありましたが、挨拶とはなんて軽々しいことだろうと思ったのと、胸におちるような平和への誓いとはほど遠い中身に感じられて、ただただ空虚な思いがしたのでした。
4月オバマ大統領がプラハで「核兵器のない世界」を国家目標にすると演説したことが思い出されます。国内や世界から大きな共感が寄せられています。日本の著名な服飾デザイナーの三宅一生氏がこれまで封印してしてこられた自らの広島での体験を解いて、核廃絶と世界平和の実現を呼びかけられました。
イギリスでは「自国の核廃絶に54%が支持」と世論が劇的に転換したことなどが報道され、7月22日、米国は東南アジア諸国連合(ASEAN)の基本条約、東南アジア友好協力条約に加入。すでにEU(欧州連合)も加入を決めていて、それを含めると52ヵ国、世界人口の68%という大きな潮流となります。
戦争放棄、核廃絶は世界の流れです。未来ある子どもたちを守るのは私たち大人の役目だとしたら、歴史の真実を知らせる教科書こそ子どもたちの手に届けたたいと願わずにはいられません。