記憶喪失したピアノマンの報道が、沈静化している。
熱心に彼を追いかけているのは日本の放送関係者だけ、と苦笑いする
テレビ・レポーターからは、個人情報に対する報道機関の認識の差を
窺い知ることができるのではなかろうか?
彼が保護・収容されている町ジリンガムを、世界大地図で探してみた。
ロンドンから50Kmほど南東に、ドーヴア方面へ下った所にあった。
そこから更に30Kmほど下るとカンタベリーがあり、次男坊夫婦が暮
らしている。ピアノマンを現地ではどのように扱っているか、メディア
の反応を聴いてみた。
「パンツ姿の暴君」のタイトルで、サダム・フセインのパンツ姿を写真
入で掲載した『ザ・サン』(イギリスのタブロイド版大衆紙)がピアノ
マンをスクープした(と推測している)。彼はこの時から「時の人」に
昇進し、一躍有名人となった。
彼の第1報を報じた日本のメディアは、『ザ・サン』を情報源としてい
ると枕詞をつけていた。
カンタベリーの次男は当然知っていたが、日本でも彼のことを報道して
いる事も知らせてきた。イギリスのメディアが、彼のことを報道してい
る日本のTV映像を放映したから・・・。
事件が起こると自局のアナウンサーを現場に派遣してライブ中継する手
法は、世界共通の常套手段になっているようだ。
ピアノマンが保護・収容されている Medway Maritime Hospitalを背景
にして女性アナウンサーがライブ中継した、日本の放送局もあった。
世界の放送局のニュースをBSで放映しているので、海外でライブ中継す
る際の報道姿勢=放送局の立場などを日本のそれと比較できる。
特に、ニュース・ソースが海外局のニュースにある場合は、それを取り上
げた日本の放送局の問題意識などを色濃く反映しているので、色の染め方
が読めるようになると、その局の報道方針が判断できて、楽しくなる。
海外の放送局は、その局やアナウンサーの見解を加えた報告=報道をする
傾向が強いが、日本の局は公共性=客観性の壁を前面に構えているので、
報告の中身に厚みがないように感じる。独自取材する情報源の有無、情報
収集と分析・評価能力の優劣に関係しているのかも。そんな思いがする。
ピアノマンが誰かを特定する、身元をいち早く特定するための個人情報は、
彼を保護・収容している病院が一般公開した。
彼の写真、保護・収容された時の身体状況、記憶はないがピアノに向かうと
落ち着きを取り戻し、長時間弾き続ける、弾いた曲目など、彼を知っている
人達の判断情報として、最小限の個人情報を公開した。イギリス国内向けピ
アノマン専用、海外の行方不明者用、公共施設の行方不明者用の3種類の電
話番号を公表し情報提供を呼び掛けている。
それまでに病院は、彼が誰であるかを特定するために情報収集していたはず。
オーストラリア、カナダ、スエーデン、ポーランド、イタリアそしてフランスから
問い合わせがあったが、身元確認までに至っていない。
そんな病院の動向を嗅ぎつけた『ザ・サン』の記者がスクープした。
ピアノマンがケント州シネアスというイギリス南東部にある小さな沿岸町で
ずぶ濡れになってさ迷っているところを発見され、保護・収容されてから1
ヶ月も経ってから、スクープされている。
病院は、スクープされたことを身元を確認する絶好のチャンスと捕らえ応対した。
それまで病院に寄せられた問い合わせ件数を整理して、身元確認の現況とし
て一気に情報公開して、マスメディアを通じて国内、海外に向けて協力要請をした。
「少なくとも、イギリス国内では300名以上の行方不明者の名簿を当り、
海外からの行方不明者の問い合わせが520名以上、メールによる問い合
わせも100名以上あったが、ピアノマンに該当する者はいなかった」
情報提供専用電話が3本在ることも、この時に公開している。
この辺から、ピアノマン報道が日本で始まり現在に至っているようで、病
院からの問い合わせは無かったと思う。
ピアノマンの写真から、日本人との繋がりは想像できないし・・・。
※病院から問い合わせがありましたら、関係する皆様には、大変なご迷惑を
お掛けいたしていること、ご容赦賜りたくお願い申し上げます。
ピアノマンが誰であるかの情報収集を熱心に繰り広げているのは、日本だけ。
テレビ・レポーターの苦笑いが語っているもの。
個人情報の収集と公開に係わっている。
イギリスのマスメディアは、病院がピアノマンの身元を確認する情報提供要請
を支援する目的意識で取材・報道しているから、それ以降は結果を待つだけ。
日本は、どうか?
ピアノマンの身元が確認されても、あの手で根を掘り下げ、この手で葉を調べ
上げ、それを報道するから、彼は、素っ裸にされて世間に曝されてしまう。
イラクの武装勢力「アンサール・スンナ軍」に拘束された日本人の報道にその
ことがよ~く表れている。
拘束された日本人を雇用している警備会社がイギリスにあり、そこで一般人が
出来ない役務に就いていたが、現在は安否不明の状態にある。
これだけの報道で充分だろう。
視聴者が知りたいのは、何処に拘束されているのか、安否はどうなっているの
かであって、当事者の生い立ちや経歴などではない。視聴者の知りたいことを
情報収集して公表するのは、マスメディアの大事な機能だ。
知人、旧友などを探し当てインタビューをとり、個人特有の情報を無分別に放映
するのは、過剰報道に過ぎない。
日本の放送局がピアノマンを飽きずに追いかけるのは、当事者にとって迷惑千
万にしかならない過剰報道の悪慣習、非常識荷物を背負っているからだ。
前夜の雨の名残を紫色の花弁に見つけた。早朝の散歩で道端に咲いている
あやめの水球が綺麗だった。
「カンタベリーからのメール、外から日本を見詰めるよい機会になりましたネ」
ボケ封じ観音さまも、元気印と同感なのだろう。
熱心に彼を追いかけているのは日本の放送関係者だけ、と苦笑いする
テレビ・レポーターからは、個人情報に対する報道機関の認識の差を
窺い知ることができるのではなかろうか?
彼が保護・収容されている町ジリンガムを、世界大地図で探してみた。
ロンドンから50Kmほど南東に、ドーヴア方面へ下った所にあった。
そこから更に30Kmほど下るとカンタベリーがあり、次男坊夫婦が暮
らしている。ピアノマンを現地ではどのように扱っているか、メディア
の反応を聴いてみた。
「パンツ姿の暴君」のタイトルで、サダム・フセインのパンツ姿を写真
入で掲載した『ザ・サン』(イギリスのタブロイド版大衆紙)がピアノ
マンをスクープした(と推測している)。彼はこの時から「時の人」に
昇進し、一躍有名人となった。
彼の第1報を報じた日本のメディアは、『ザ・サン』を情報源としてい
ると枕詞をつけていた。
カンタベリーの次男は当然知っていたが、日本でも彼のことを報道して
いる事も知らせてきた。イギリスのメディアが、彼のことを報道してい
る日本のTV映像を放映したから・・・。
事件が起こると自局のアナウンサーを現場に派遣してライブ中継する手
法は、世界共通の常套手段になっているようだ。
ピアノマンが保護・収容されている Medway Maritime Hospitalを背景
にして女性アナウンサーがライブ中継した、日本の放送局もあった。
世界の放送局のニュースをBSで放映しているので、海外でライブ中継す
る際の報道姿勢=放送局の立場などを日本のそれと比較できる。
特に、ニュース・ソースが海外局のニュースにある場合は、それを取り上
げた日本の放送局の問題意識などを色濃く反映しているので、色の染め方
が読めるようになると、その局の報道方針が判断できて、楽しくなる。
海外の放送局は、その局やアナウンサーの見解を加えた報告=報道をする
傾向が強いが、日本の局は公共性=客観性の壁を前面に構えているので、
報告の中身に厚みがないように感じる。独自取材する情報源の有無、情報
収集と分析・評価能力の優劣に関係しているのかも。そんな思いがする。
ピアノマンが誰かを特定する、身元をいち早く特定するための個人情報は、
彼を保護・収容している病院が一般公開した。
彼の写真、保護・収容された時の身体状況、記憶はないがピアノに向かうと
落ち着きを取り戻し、長時間弾き続ける、弾いた曲目など、彼を知っている
人達の判断情報として、最小限の個人情報を公開した。イギリス国内向けピ
アノマン専用、海外の行方不明者用、公共施設の行方不明者用の3種類の電
話番号を公表し情報提供を呼び掛けている。
それまでに病院は、彼が誰であるかを特定するために情報収集していたはず。
オーストラリア、カナダ、スエーデン、ポーランド、イタリアそしてフランスから
問い合わせがあったが、身元確認までに至っていない。
そんな病院の動向を嗅ぎつけた『ザ・サン』の記者がスクープした。
ピアノマンがケント州シネアスというイギリス南東部にある小さな沿岸町で
ずぶ濡れになってさ迷っているところを発見され、保護・収容されてから1
ヶ月も経ってから、スクープされている。
病院は、スクープされたことを身元を確認する絶好のチャンスと捕らえ応対した。
それまで病院に寄せられた問い合わせ件数を整理して、身元確認の現況とし
て一気に情報公開して、マスメディアを通じて国内、海外に向けて協力要請をした。
「少なくとも、イギリス国内では300名以上の行方不明者の名簿を当り、
海外からの行方不明者の問い合わせが520名以上、メールによる問い合
わせも100名以上あったが、ピアノマンに該当する者はいなかった」
情報提供専用電話が3本在ることも、この時に公開している。
この辺から、ピアノマン報道が日本で始まり現在に至っているようで、病
院からの問い合わせは無かったと思う。
ピアノマンの写真から、日本人との繋がりは想像できないし・・・。
※病院から問い合わせがありましたら、関係する皆様には、大変なご迷惑を
お掛けいたしていること、ご容赦賜りたくお願い申し上げます。
ピアノマンが誰であるかの情報収集を熱心に繰り広げているのは、日本だけ。
テレビ・レポーターの苦笑いが語っているもの。
個人情報の収集と公開に係わっている。
イギリスのマスメディアは、病院がピアノマンの身元を確認する情報提供要請
を支援する目的意識で取材・報道しているから、それ以降は結果を待つだけ。
日本は、どうか?
ピアノマンの身元が確認されても、あの手で根を掘り下げ、この手で葉を調べ
上げ、それを報道するから、彼は、素っ裸にされて世間に曝されてしまう。
イラクの武装勢力「アンサール・スンナ軍」に拘束された日本人の報道にその
ことがよ~く表れている。
拘束された日本人を雇用している警備会社がイギリスにあり、そこで一般人が
出来ない役務に就いていたが、現在は安否不明の状態にある。
これだけの報道で充分だろう。
視聴者が知りたいのは、何処に拘束されているのか、安否はどうなっているの
かであって、当事者の生い立ちや経歴などではない。視聴者の知りたいことを
情報収集して公表するのは、マスメディアの大事な機能だ。
知人、旧友などを探し当てインタビューをとり、個人特有の情報を無分別に放映
するのは、過剰報道に過ぎない。
日本の放送局がピアノマンを飽きずに追いかけるのは、当事者にとって迷惑千
万にしかならない過剰報道の悪慣習、非常識荷物を背負っているからだ。
前夜の雨の名残を紫色の花弁に見つけた。早朝の散歩で道端に咲いている
あやめの水球が綺麗だった。
「カンタベリーからのメール、外から日本を見詰めるよい機会になりましたネ」
ボケ封じ観音さまも、元気印と同感なのだろう。
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