アトリエに入る
スイッチを入れる
臥雲式紡績機が動く
心臓の鼓動が動く
撚りこまれた綿が糸になって上がる
ゆっくりと 時が過ぎる
私は凝視する
目が離せない
同じ動きは永遠に無い
一瞬が変り一瞬が過ぎて
無作為の動きに私を引き込んでゆく
私の愛機の試作織機、綜絖16の織機だ
もうすぐ織り終わる
自分が布に入り込んでゆく運命が
もう 終わる
コロナに自分が罹るなんて思わなかったが
今は 自分も罹るかもしれない
から〜
自分も死ぬかも知れない
と織終わりには思えるようになった
経糸が私の定められた運命の糸とするなら
緯糸は私の助平根性の塊で出来ているのだ。
生徒達よ、早く覚えないと
秘密のままだな、