世界中から熱苦しく・・・「ふじもん世界放学ブログ」

元「変な学校先生」私ふじもんが、ただ今世界を駆け巡っています!世界の今と僕の魂をお届けしますので、ぜひお読み下さ~い!

【第1章 南米編 「優しい人」小さな女性が与えてくれた大きな感動】

2013-07-09 13:28:28 | 日記
以前僕はブログの中で性善説と性悪説について書かせていただいたが、人間の「善」と「悪」が交錯した(というとちょっとオーバーですが)出来事がペルーの首都・リマの路線バスの中で起きた。僕にとっては一生忘れることのない、「小さな女性が与えてくれた大きな感動」なので、ぜひ紹介をしたいと思う。

ペルーの首都・リマ。僕は路線バスに乗ろうとした。 リマのバスでは、運転手の他に係の人間がいて、料金の回収などをしている。僕は係のおっちゃんに値段を聞いた。すると「クアトロ(4)ソル」答えた。僕はバスに乗る前にタクシーの運転手から「バスは4ソルだよ」と聞いていたので、疑うことなく4ソルを渡した。すると周りの乗客が「NO,NO,NO」とブーイングを始めるではないか。なんとバス代は2ソルだったのだ。

スペイン語はサッパリの僕だが、大体のことは空気が教えてくれる。まぁこの程度のことは旅をしていればよくある話なのだが、やはりムカつく。「なんだよ、タクシーの運転手かの4ソルってのは何だったんだ?」と思いながら、どうしてくれようかと考えていた。

すると周りの乗客が、おっちゃんにガンガン文句を言ってくれるではないか。おっちゃんはずっと無視していたが、それでもお金を返すようにとみんなが言ってくれている。

ついに居たたまれなくなったのか、僕にお金を返してきた。

しかし、それは1ソルのみ。あと1ソル足りない。

たった1ソル、されど1ソル。やっぱりこのままバスを降りるのは悔しいので、何とかしてやんねぇとな~と考えていたところ、途中からバスに乗ってきた英語を話せる女性が、僕に話し掛けてきた。

「あなた、いくら払ったの?」
「最初に4ソル払ったんだけど、みんなが文句を言ってくれたおかげで1ソルだけ返ってきたんだ。まだ1ソル足りないんだけどね。」
「OK、ちょっと待っててね。」

そういうと、その小さな女性はおっちゃんに掴みかかるではないか!そして猛烈に抗議を始めた。何を言っているのかまでは正直分からない。しかし、今たまたま乗り合わせた見ず知らずの日本人のために、この女性は必死になって抗議をしてくれている。

おっちゃんはついに諦め、1ソルを返してきた。

彼女は「エスタビエン!(大丈夫ね!)」とだけ言い残して、親指を立てながら颯爽とバスを降りていった。

僕は惚れた。惚れまくった。なんてカッコイイ女性なんだ…!

それに引き換え、このオヤジのセコさは抜群だ。このオヤジ、最後に僕がバスを降りようとするときにも「荷物が大きいから、あと50センティモ(1ソル=100センティモ)足りないよ」とぬかしてくるし。何とかして僕から金を巻き上げようとしてきやがる。このクソオヤジめ!

でも、この女性に惚れ込んでしまった僕は、オヤジには軽く「チャオ」とだけ言ってバスを降りた。このハナクソオヤジめが。

でも、そんなハナクソ野郎の人間の小ささにイライラするよりも、ガンガン文句を言ってくれた乗客の人たちと、正面切って堂々と抗議をしてくれたこの小さな女性の人間の大きさに感動した方が良い。問題になったお金はたったの2ソル。日本円にしたら100円にも満たない金額だ。しかし金額の問題ではない。たった2ソルを何とかして自分の懐に入れようとするクソヤローもいれば、たった2ソルのために危険を犯してまで戦ってくれた素晴らしい女性もいる。しかもたまたま出会っただけの外国人のために。

バスに乗っていた時間はほんの数十分。しかし、僕にとっては一生忘れることのできない路線バスになった。

そしてこの女性は、大切なことを僕に教えてくれた。

基本。人間としての基本だ。

この女性から学んだことを、僕は生かさなければならない。人間として何より大切なことをその行動を以て僕に教えてくれたのだから。

もう二度と会うことはないけれど、最後にもう一度…ムチョグラシアス!(本当にありがとう!)

2013年7月9日。コロンビアのアマゾン河畔の街、レティシアにて。