「河野談話」矮小化か
国、民間資料の収集触れず
紙議員への回答
来年で戦後80年になるにあたり、日本政府には日本軍「慰安婦」問題への誠実な姿勢が問われています。同問題に関する政府の見解「河野談話」(1993年)について、実務を担う内閣官房副長官補室が一部事業を実施せず、同談話を矮小(わいしょう)化している可能性のあることが15日までにわかりました。日本共産党の紙智子参院議員の問い合わせで明らかになりました。
国は「河野談話」に基づき日本軍「慰安婦」問題に関連する資料を集め、保管しています。96年には平林博内閣官房内閣外政審議室長(当時)が各省庁に対して同資料の報告と提出を依頼(「平林通知」)しました。
「河野談話」は国が調査・収集・保管すべき資料には「今後とも、民間の研究を含め、十分に関心を払って参りたい」と表明しています。紙氏はこれに基づいて、民間研究者が発見・保有する物も含まれるとして、政府が同談話の発表以降に民間研究者に対して聞き取りや調査など資料を収集した実績があるか、同補室に問い合わせました。
同補室は回答で、民間研究者への資料収集に関する事柄には一切触れませんでした。
民間研究者らは、自分たちが新資料を発見しても政府が公認の資料にしない実態を指摘し、政府が同談話に背いていると批判しています。
河野談話の抜粋
…今次調査の結果、長期に、かつ広範な地域にわたって慰安所が設置され、数多くの慰安婦が存在したことが認められた。慰安所は、当時の軍当局の要請により設営されたものであり、慰安所の設置、管理及び慰安婦の移送については、旧日本軍が直接あるいは間接にこれに関与した。
…本件は、当時の軍の関与の下に、多数の女性の名誉と尊厳を深く傷つけた問題である。政府は、この機会に、改めて、その出身地のいかんを問わず、いわゆる従軍慰安婦として数多の苦痛を経験され、心身にわたり癒しがたい傷を負われたすべての方々に対し心からお詫(わ)びと反省の気持ちを申し上げる。
…われわれは、歴史研究、歴史教育を通じて、このような問題を永く記憶にとどめ、同じ過ちを決して繰り返さないという固い決意を改めて表明する。
…政府としても、今後とも、民間の研究を含め、十分に関心を払って参りたい。
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