高額療養費制度見直し案撤回を
高額療養費制度の負担上限引き上げに患者団体などから批判が出ていることを受け、石破茂政権は「一部修正」で乗り切ろうとしています。ところが修正しても1950億円もの受診抑制を前提としており、患者の命を脅かしかねない本質は何ら変わりません。
福岡資麿厚生労働相は21日の衆院予算委員会で、高額療養費制度の見直しを一部修正しても「長瀬効果を約1950億円見込んでいる」と答えました。長瀬効果とは、一言でいえば「受診抑制で医療費を節約できる金額」のことです。
石破茂首相は厚労相答弁の直後、「受診抑制を引き起こすことは極力避けないといけない。そういうことが無いように慎重に検討した結果、このように(修正案を)出させていただいた」と述べました。厚労相は受診抑制を想定しているのに、首相は受診抑制が発生しないかのような矛盾した発言は、あまりにも無責任です。
政府の当初案は、患者の自己負担上限額を引き上げるもので、それによる受診抑制を2270億円と想定。これに対し、がん治療中の人たちから「生きるのを諦めろというのか」「人としてどうなのか」との批判が渦巻いていました。その声を受け政府は、制度を4回以上利用する「多数回該当」の引き上げを据え置く「修正」案を示していました。しかし「多数回該当」の前提となる1回ごとの負担上限の引き上げに変更がなければ、高額療養費制度の利用が制限され、受診抑制が生じるのは当然のことです。
ごまかしの「修正」案で患者に治療断念を迫る今回の見直しは撤回以外にあり得ません。
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