流血止め公正な和平の実現を
ウクライナの人々に多大な困難をもたらしたロシアの侵略開始から24日で3年です。この間、約1万3千人のウクライナ市民が殺され3万人が負傷、軍の死者は4万5千人を超えます。国外に逃れた難民は690万3200人、ウクライナ国内でも370万人が故郷を追われ1270万人が人道支援を必要としています。ロシア軍の死傷者は80万人に上ると見られています。
ウクライナでの流血を終わらせることは急務です。国連憲章と国際法、ロシアによる侵略を非難し、軍の即時・完全な撤退、ウクライナの主権と領土保全を求める4度にわたる国連総会決議にもとづき公正な和平を実現しなければなりません。そのために国際社会が団結し行動することが、戦争を終わらせる道です。
■国連憲章を基礎に
米国のトランプ大統領は今月、ロシアのプーチン大統領と電話会談しウクライナでの戦争終結に向けた交渉開始で合意しました。両国外相らの高官協議も行われています。
国連総会決議は当初から、ロシア軍の即時撤退とともに、緊張の緩和、紛争を政治的対話、交渉、調停など平和的手段で解決することを呼びかけており、最近の米ロ間の動きは注目されます。
同時に、トランプ大統領が、ウクライナのゼレンスキー大統領を「独裁者」と呼び「そもそも戦争を始めるべきではなかった」「彼の(交渉)会合への参加は重要ではない」と述べたことは、国際的な批判を呼び起こしています。
ウクライナでの戦争の背景に、欧米のNATO(北大西洋条約機構)諸国とロシアの双方が、もっぱら軍事力によって相手の攻撃を「抑止」する戦略を進め「力対力」の対抗に陥る外交の失敗があったことは確かです。
しかしそれで、ロシアの侵略と武力による領土拡張、市民への戦争犯罪という重大な国際法違反を曖昧にしたり正当化することは全くできません。和平協議に向けては、ウクライナをはじめ関係国を包摂した外交が必要です。
これまでロシアを非難しイスラエルは擁護する米国などの「二重基準」がウクライナでの公正な和平をめざす国際社会の団結を妨げてきました。それに加えトランプ大統領の言動は新たな問題をもたらしています。グリーンランド獲得、パナマ運河奪還、パレスチナ・ガザの所有という主張は、国連憲章、国際法の諸原則を無視しプーチン大統領とも通じる危険なものです。
■大軍拡から外交へ
ロシア軍の撤退、ウクライナの領土回復には困難が伴い、一定の時間や段階も必要でしょう。その際、国連憲章、国際法にもとづく秩序の回復を和平協議の目的とし、追求することが不可欠です。
地域や諸国間の紛争問題は、軍事ではなく外交でこそ解決します。日本政府・与党は、「今日のウクライナは、明日の東アジア」とあおり、大軍拡を正当化してきましたが、軍事対軍事のエスカレートは現実の戦争につながりかねない危険な道です。石破茂政権は大軍拡をやめ、外交の可能性を真剣に追求し、対話と協力で公正な平和を築く取り組みに力を尽くすべきです。
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