経営法務研究室2023

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サラリーマンの方の副業の所得区分について

2011-12-22 | (税務・会計)

 昔は、就業規則上、副業を禁止するというルールをもつ会社がほとんどでしたが、競争社会となり、今は給与の昇給や賞与の支払いが行えない会社も多くなりました。ただ、そのカウンターバランスとして、副業を認める会社も最近はあるようです。


 そのため、サラリーマンの方の中には、副業による収入がある人も増えつつあると思います。


 ここで、問題となるのは、その副業の所得区分です。事業所得となるか雑所得となるかの問題です。


 もし、事業所得であれば、損益通算ができ、本業の給与に事業所得の損失を取り込み、結果として税金が低くなることがあります。雑所得であれば、損益通算はできません。

 
 この実益をめぐり、裁判上事業所得か雑所得かという点が争点となります。



 通常その基準は、社会通念上「事業」といえるかどうかですが、事業の規模、内容、性質、態様などから総合的に判断されます。

 個々の裁判例では、「継続的かつ安定的に所得が発生するかどうか」という基準が用いられ、当該経済活動からの所得で生計を立てうるレベルで、相当期間継続するようなものであれば、事業所得として良く、そうでなければ雑所得とされているものがあります。


 これら基準からすると具体的なところを把握するのは、難しいですが、要は、いつも損益通算をしてしまう状況ではダメだといえます。


 なお、所得税法基本通達35-2によれば、

 ①動産貸付による所得
 ②工業所有権使用料にかかる所得
 ③温泉利用権設定による所得
 ④原稿、挿絵、作曲、デザイン報酬、放送謝金、著作権使用料、講演料等の所得
 ⑤採石権、鉱業権の貸付による所得
 ⑥金銭貸付による所得
 ⑦不動産の継続的売買による所得
 ⑧保有期間5年内の山林の伐採または譲渡による所得

は 事業から生じたものと認められるものを除き雑所得に該当するとされ、原則として雑所得という扱いになっています。



最近は、サラリーマンの副業を勧めている書籍が増えており、そのなかには、副業を事業所得として、損益通算できるという節税策が示されていることもあるとは思いますが、当然のように事業所得となるような話ではないことに注意してください。


税務署に開業届だけ出せば事業になるという単純な話ではないですね。