弁護士でも一般的には、税務に明るいわけではなく、税務まで手が回っている弁護士はそれほど多くはありません。
それでも、普通に弁護士が知っていておかしくないことについては、裁判所も厳しめの判決を出しています。
そのうちの、一つに、顧問契約を締結した税理士らが誤回答をしたとして、弁護士法人が不法行為に基づく損害賠償請求をした事例(東京地裁H21.2.19判決)があります。
事案としては、弁護士法人設立の際に、節税に資する資本金額について、税理士に相談したところ、資本金額はいくらでもよい旨の回答を得たため、資本金額を1000万円として設立したが、それによって、消費税3060万9700円を課せられることになったというものです。資本金1000万円以上の法人となると、消費税の納税義務が生じ、法人設立における猶予なるメリットが受けられません。
実際上の、本件の争点は、税理士側(従業員)が、節税に関連して資本金額等について誤った回答を行ったか否かという点であり、あくまでも事実認定上の問題にすぎず、回答の有無が認定できないということで処理されているようですが・・・・
実際上は、このようなレベルの問題で、損害賠償請求を認めるべきではないという価値判断も働いていると思います。
また相談レベルで多額の損害賠償請求を認めるには、それ相応の客観的な証拠が必要であるという価値判断もあるかもしれません。
相談ごとについては、手間等もあり、弁護士も必ず書面をもって回答できるわけではないですが、重要だと感じたら、書面での説明を求めておくべきともいえますね。。。
専門家への相談は、重要状況と判断したら、相談内容の書面化を求めることも場合によっては必要な対応だと思います(書面化することで多少の費用が生じたとしても、行うべきときもあると思います。)。