経営法務研究室2023

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労働契約の基本 その3 各種保険

2017-11-19 | その他
求人情報を出すときには、よく「各種保険完備」と書かれている会社があります。

通常、「各種保険完備」とは、雇用保険、労災保険、健康保険、厚生年金保険に加入していることを意味します。

その会社で働く従業員には、これらの制度が適用されることを意味します。

働こうとする人は、その会社で、

病気や怪我をしたとき、
出産をしたとき、
失業したとき、
高齢になっ
たときなど、

働けなくなってしまうような様々な場面で必要な給付を受けられるかどうか気になるところです。

会社としては、きちんと加入しておく必要があります。



●雇用保険

雇用保険は、労働者が失業した場合などに、生活の安定と就職の促進のための失業等給付を行う保険制度です。
勤め先の事業所規模にかかわらず、

①1週間の所定労働時間が20時間以上で
②31日以上の雇用見込がある人(派遣社員、契約社員、パートタイム労働者、アルバイトも含む。)


雇用保険制度への加入は会社の義務となっています。


保険料は労働者と会社の双方が負担します。


失業した労働者に基本手当の支給がなされます。失業が会社都合か自己都合かで内容が変わります。
(額は、在職時の給与などによって決定されます)。


雇用保険に関する各種受付はハローワークで行っているので、手続等に不明な点があれば、問い合わせましょう。



●労災保険

労災保険は、労働者の業務が原因の怪我、病気、死亡(業務災害)、また通勤の途中の事故などの場合(通勤災害)に、国が会社に代わって給付を行う公的な制度です。
労働基準法では、労働者が仕事で病気やけがをしたときには、会社が療養費を負担し、その病気やけがのため労働者が働けないときは、休業補償を支払うことを義務づけ
ています(労働基準法75、76条)。

もっとも、会社に余裕がなかったりすると、十分な補償ができないかもしれません。
そこで、労働災害が起きたときに労働者が確実な補償を得られるように労災保険制度が設けられています。


基本的に労働者を一人でも雇用する会社は労災保険制度に加入する義務があります。


保険料は全額会社が負担します。

労働災害に対する給付は、パートタイム労働者やアルバイトも含むすべての労働者が対象です。
性質上、仮に会社が加入手続きをしていない場合でも、給付を受けられます。

各種受付は労働基準監督署で行っているので、手続等不明な点があれば問い合わせましょう。




●健康保険

健康保険は労働者やその家族が、病気や怪我をしたときや出産をしたとき、亡くなったときなどに、必要な医療給付や手当金の支給をすることで生活を安定させることを目的と
した社会保険制度です。

病院で使う保険証は、健康保険に加入することでもらえます。病院の窓口での負担が、原則治療費の3割負担になります。

健康保険は
①国、地方公共団体又は法人の事業所あるいは
②一定の業種(※)であり、常時5人以上を雇用する個人事業所  
 ※製造業、土木建築業、鉱業、電気ガス事業、運送業、清掃業、物品販売業、金融保険業などなど、

では強制適用され、加入の義務があります。

派遣社員、契約社員、パートタイム労働者、アルバイトでも、1週間の所定労働時間及び1か月の所定労働日数が、通常の労働者の4分の3以上あれば加入させる必要があります。
また、4分の3未満であっても、
①週の所定労働時間が 20 時間以上であること、
②月額賃金が 8.8 万円以上であること、
③勤務期間が1年以上見込まれること、
④学生ではないこと、
⑤従業員数 501 人以上の規模である企業に使用されていること
(500 人以下の企業でも労使合意があれば適用対象となります)

の5つの条件を満たす場合にも、社会保険に加入させなければなりません。



各種受付は健康保険組合又は全国健康保険協会 各都道府県支部で行っているので、手続等不明な点があれば問い合わせましょう。





●厚生年金保険

厚生年金保険は、労働者が高齢となったり、何らかの病気や怪我によって身体に障害が残ってしまったり、大黒柱を亡くしてその遺族が困窮してしまう
といった事態に際し、保険給付を行い、労働者とその遺族の生活の安定と福祉の向上に寄与することを目的とした制度です。

労働者は、老齢年金、障害年金、遺族年金等を受け取ることができます。

厚生年金保険適用事業所は、


①国、地方公共団体又は法人の事業所
あるいは
②一定の業種(※)であり、常時5人以上を雇用する個人事業所
 ※製造業、土木建築業、鉱業、電気ガス事業、運送業、清掃業、物品販売業、金融保険業などなど、
では強制適用となっています。

適用事業所には、加入の義務があります。


派遣社員、契約社員、パートタイム労働者、アルバイトでも、1週間の所定労働時間及び1か月の所定労働日数が、通常の労働者の4分の3以上あれば加入させる必要があります。
4分の3未満であっても、
①週の所定労働時間が 20 時間以上であること、
②月額賃金が 8.8 万円以上であること、
③勤務期間が1年以上見込まれること、
④学生ではないこと、
⑤従業員数 501 人以上の規模である企業に使用されていること(500 人以下の企業でも労使合意があれば適用対象となります)

の5つの条件を満たす場合にも、社会保険に加入させなければなりません。


保険料は、会社と労働者が半々で負担します。


各種受付は年金事務所で行っているので、手続等不明な点があればお近くの年金事務所に問い合わせましょう。

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