よみがえるケインズ

ケインズの一般理論を基に日本の現代資本主義を読み解いています。
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現代日本に棲む悪魔 金融機関が債務超過?

2020年07月07日 | 日本経済を読む
日本銀行:資金循環統計 2

 ここで銀行等のBSを見ると、資産は貸出814兆円+証券410兆円の1224兆円に対し、負債は預金1,517兆円+証券79兆円の1,596兆円となる。

 372兆円の債務超過となっている。これには銀行の日本銀行当座預金401兆円が抜けており、これを足すと29兆円のプラスとなる。

 しかし考えれば、銀行が401兆円の当座預金(金利が付かない)を資産として抱えていることは異常なことではないだろうか。資産運用の三分の一が無収益なのである。この点は後々触れる。

 他の金融機関も同じように計算すると保険・年金基金(公的年金、社会保障以外)が92兆円、その他の金融機関が145兆円の債務超過となっている。もちろん金融資産以外の資産もあることから直ちに債務超過とは言えないが、金融機関とは金融仲介機関であり、自ら膨大な固定資産を持っていることは健全ではないだろう。

 なぜこんなことになっているのだろうか?すべては借りてくれる人がいないからである。家計、企業、一般政府(中央政府、地方政府(地方自治体のこと)、社会保障基金)の借入額を合わせても887兆円にしかならないのだ。
一般政府は、他に1125兆円の公債を発行しているが、金融機関がこれを窓販しても手数料が入るだけである。

次回は日本全体の金融資産のBSを取り上げる。

 

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