第3編は何気ないが重要な編:有効需要の構成要素、消費と投資の探求
第3編消費性向は以下の章からなっている。
第8章 消費性向(1)―客観的要因
第9章 消費性向(2)―主観的要因
第10章 限界消費性向と乗数
一般理論を根底から覆すためには①「人は豊かになればなるほど消費性向が上昇する」という事実を示すだけでよい。あるいは②「低下した消費性向の分だけ必ず投資が増える」という事実を示すだけでよいのである。
この①を否定しているのが第三篇だ。否定どころか逆であると主張している。人は豊かになるほど消費性向は低下する、と主張しているのだ。このケインズの主張を否定できる人はいまいが、これを経済学の理論に組み込んだ人はあまりいない。明白な事実を理論に組み込まないのは、その人が信仰を持っているからだろう。進化論を排除する人々に似ていると言っても言い過ぎではあるまい。
②は「第4編 投資誘因」で否定される。さらにこの編で最も重要なのは「乗数理論」である。今使われている乗数理論とは全く異なる概念だ。「乗数理論は今や通用せず、政府の財政支出は意味がない」などという言説に出くわしたらその本はそれ以上読む必要はないし、発言であれば以降相手にすることはない。時間の無駄である。
一般理論は雇用を決定する要因に関する理論である
これまでのところでは、雇用量は有効需要によって決定され、有効需要は消費+投資だ、ということであった。そこで消費と投資を決定する要因を探ろう、ということなのだ。第8章から第18章まで続く。(長いッのであった)
消費に関しては所得のうちいくらを消費に回すのか、人々がそれぞれの自由意思で決めていることに「客観的要因」があるのだろうか?はたまた、「主観的要因」を分析して何になるのだろうか?
乞御期待‼