タックの庭仕事 -黄昏人生残日録-

≪ ス モ モ の 花 盛 り ≫

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 釧路町別保の市街を出てまもなく、根室へ向かう国道44号線は、中標津町を経て標津町に至る国道272号線を分岐する。分岐して二里くらいまでは、今でも、ビニールハウスで野菜を育てる農家が数軒点在するが、離農跡地の方がはるかに多い。このような狭い山あいの谷地での営農が困難なことは、素人目にもよく分かる。木造の家屋はほとんど朽ち果てて目につかないので、離農後、長い年月が経っているのだろう。
 今は生活環境が変わり、あまり見かけなくなったが、昔(たかだか数十年前)の農家は、冬期間の風雪を凌ぐため、家屋の北側にトドマツを植え、日当たりのよい場所に、リンゴ・ナシ・スモモなどの果樹を植えたものである。しかし、釧路・根室の沿岸部は気温が低いため、スモモ以外は、果実はついても食べられるようにはならない。スモモは、リンゴやナシよりも早く、エゾヤマザクラより少し遅れて開花する。写真のスモモは、つぶれて原形を留めない廃屋の右側に一列に植わっていて、花は満開を少し過ぎていたが、カラマツ林の新緑とのコントラストが見事だったので、車を止めて撮影した。
 スモモの実は、紫赤色と黄色の二種類あるが、虫食いが多く、ほとんど食用にはならない。ただし、巴旦杏と呼ばれる黄実の品種は、実が大きいし虫食いもほとんどなく、美味であるが、樹勢が弱く枯れやすいのが難点である。
 父は、庭に果樹を植えるのが好きで、私が少年の頃、カーランツ・グースベリー・ナシ・リンゴ・スモモ・ブドウ・クリなどが植わっていたが、クリは毬だけで実は入らなかった。女房の実家では、小さいながらクリの実が収穫できたという。標高差が100メートルの地勢の違いであろう。 

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