タックの庭仕事 -黄昏人生残日録-

<アタクチャ川一の沢のエノキタケ(10月23日)>

P1300555P1300516 アタクチャ川上流で緑ダムの建設工事が始まったのは昭和四十九年、完成は平成十五年で、二十九年の歳月を要したことになるが、実際は、もっと早く農業用潅漑ダムの計画があり、私の小学校低学年時、つまり昭和二十五年には斜里川本流の測量が始まっていた。ダム予定地は中流域の清里町青葉地区で、私は中学二年生の夏休みに測量の棒持ちのアルバイトをした。
 しかし測量の結果、予定地の地盤の強度不足が判明。その後、紆余曲折があって現在地に決まったと聞いている。ダムの形式はロックフィルダムで、ダム本体を支える岩石が一の沢上流の山からダンプで運び出された。一の沢はエノキタケの宝庫で、ダンプの運転手が仕事の合間に見事なエノキタケを採取していた。ダムの工事の期間中にヤマメの放流が行われ、斜里川本流やアタクチャ川でヤマメが釣れ、釣り人もエノキタケ採取に加わった。
 ダム完成と共にダンプは姿を消し、理由は不明だがヤマメの放流も停止され、釣り人も訪れなくなった。二十年もの間放流が行われたにもかかわらず、放流停止と共にオショロコマがヤマメに取って代わったことは、ヤマメ放流が失敗だったことを示している。
 十月二十三日、往時を思い出し、一の沢に沢に入ってみた。時の経過で倒木は腐朽し、新たな倒木は数が少ないが、それでもエノキタケは健在だった。エノキタケだけを目的にここに来ることはないが、田舎家での作業のついでであれば奥本流と合わせて覗いてみるのもよい。

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