1月8日付『讀賣新聞』第22面〈ネイチャー〉のエッセイ、高田勝「ある日の原野」は、スズメやカラスなど留鳥の移動を取り上げ、「スズメもカラスも、留鳥性のものと漂鳥性のものがいるかもしれない。ひょっとしたらすべてが漂鳥で、それが取っかえひっかえ現れているのかもしれない。そうなると、厳密に留鳥と言い切れる鳥は、案外少ない可能性がある」と述べている。
しかし、そのような考え方は、野鳥の移動型(留鳥・漂鳥・夏鳥・冬鳥・旅鳥・迷鳥)に対する認識の曖昧さから生じているように思われる。
河合大輔・川崎康弘・島田英明『北海道野鳥図鑑』(亜璃西社)の巻末の〈用語解説〉、「留鳥=季節的な移動はせず、周年その地域に生息する種のこと。ただし、種としては留鳥であっても、個体によって移動が認められる場合がある。移動型は、あくまでも『地域個体群』や『種』といった大きな単位で考える」という定義が妥当だろう。
人間は、よほどの特徴がなければ、野鳥の種内の個体を識別できないが、普段目にするのが新顔のスズメやカラス(写真下段<中>がハシブト、<右>がハシボソ)ばかりとは限らないし、新顔だとしても、その個体が漂鳥ということにはならない。スズメには無理だが、カラスなら50~70㌔の移動が可能な個体はいるだろう。それでも、ハシブトガラスやハシボソガラスは留鳥であって、漂鳥ではない、と私は思う。
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