金魚cafe

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夢幻花

2015-06-24 00:14:35 | 読んだ本
東野圭吾著 PHP研究所

この世にありえない幻の花に翻弄される人たち。

プロローグが昭和37年に事件が起こり、もう一つのプロローグがその何十年後の朝顔市。

これがどのようにつながるのか?

私は西に住んでる人間なので知らなかったのですが、東京では台東区の入谷というところで朝顔市が開催されているのですね。

朝顔は江戸時代から皆に親しまれてきた花で当時から品種改良も盛んであったそうです。

2011年震災が起こった後にこの世にありえない朝顔をめぐる殺人事件が。

この世にありえない朝顔とはどんな花なのか?

追い求めていけない夢幻花そんな朝顔が事件の鍵となります。

その夢幻花をめぐって何組もの父と子の絆が見られます。

犯罪者から身を挺して家族を守ろうとした父、必要以上に厳しい父、息子のために犯人を必ず逮捕しようとする刑事、亡くなった父親代わりになろうとする兄。

東野圭吾センセーはここでもやはり母ではなく父と子なのです。

父の愛が深いほど誤解をまねき息子は煙たがってしまう。

読んでいくうちに子供のときはわからないかもしれないけれど分別つく年頃になればちゃんと説明するべきだったのではないかと。

後で父の思いを知らされる子供はあのときもっと話しておけばよかったとと後悔してしまうのです。


殺人事件の犯人のことよりそっちの人間関係のほうが気になってしまいました。

そして震災後ということで「天空の蜂」でも書かれた原発に対する東野圭吾センセーの思いも書かれていたような感じがいたしました。

小説のなかでこの世にありえない朝顔というのは現在ではバイオテクノロジーのおかげで咲いているそうです。