昔、山深く歩いていたら
不意にコンクリートの白い
建物があったりしました。
特養老人施設でした。
昔はそんなところにあったようです。
刑務所や精神病院でも
もう少し町なかにある
のに、と思ったのでした。
そして「姨捨山」という字を
よく見てください、
女性なのです、
捨てられるのは老女だったのですね。
男はもう少し早く死期を迎え
女性の看護のもとで死ぬ
ことができたのでしょう。
信州の「姨捨山」は
田毎の月で名高い
美しい風景の広がる
ところですが・・・
今はそこにーー山奥にーー
ちゃんとした施設があるのだなあと
思っていました。
が
最近はもっと町なかに
施設があります
が
いろいろと老人への
暴力沙汰があるようです。
そこで何が行われ
どんな不正が行われ
だれがどれだけ利益を
得ているかなんて
だれにもわからない
という意味では
やっぱり昔と同じ
「姨捨山」のような
山の奥に
施設があるのと変わらない
のでは
と思ったのでした。そして
私は願わくば
施設に収容される前に
本当の「姨捨山」の木陰で
満開の桜の下で
静かに死ねたら最高だなあ、
などと夢想するのです。