人生の階段ー日々の詩に託してー

ある老婆の日々ーー

はるかな昔ー飛鳥川ー

2016年10月06日 | 日記

結婚して間もなくの頃

若い二人はまだ学生で

飛鳥地方や東北を旅したり

していました。

貧しい旅ですから

旅館なんてとんでもない

野宿と夜行列車です。

あるとき飛鳥川のほとりで

飯ごうでご飯を炊きました。

水は近くの家からもらって。

清らかな水に足をつけたりして

若いときにはいろんなことが

できるものですね。

ずっとあとになって

万葉集に素敵な歌があるのを知りました、

許されぬ恋をした皇女(高市皇子の妻)が

穂積の皇子に恋をするのですが

人目があるので朝早く飛鳥川を越えて

恋人に会いにゆくという歌。

{人言を 繁み言痛(こちた)み己が世に いまだ渡らぬ朝 川渡る}

いいなあ、大胆で清冽で

と思う私は

結婚してから家族を捨ててまで

と思う人には出会うこともなく

一応責任を全うしつつ

人生の終わりを

迎えようとしています。

あの飛鳥川

あの頃はあたりも

まだ人家も少なくて

川辺でご飯も炊けたのでした。

清冽な川辺の思い出です。