人生の階段ー日々の詩に託してー

ある老婆の日々ーー

遠い記憶ー姫路城ー

2016年10月09日 | 日記

戦争の気配がまだなかった頃

私の家の門を出ると

右側の空に

姫路城が聳えていました。

お城を背にして

幼稚園への道を歩いて行きました。

ベーカー幼稚園と言いました。

そこでの記憶といったら・・・

おばあさん先生が

「満州の国旗を塗りましょう」

見本を見せて

私らは横何本かに引かれた

線と線の間を

5色だったか7色だったかの

クレヨンで塗って

いきました。

そんな時代だったのですね。

覚えているのはそれくらい。

記憶力の乏しい子どもだったのです。

けれどもあの時代

両隣の家族にも子どもたちがいて

まるで

兄妹姉妹のようにしていました。

母親同士もそうでした、

道には子どもの声が溢れ

チョコレートだってあったのでした。

そして私らは間もなく

引っ越して関門海峡を越えました

五歳の私は

「海の底を列車が走ったら

お魚が見える」と

本気で信じておりました。

開戦前のひととき

平和が終わろうとする

時代のお話です。