人生の階段ー日々の詩に託してー

ある老婆の日々ーー

思い出の通学列車

2016年10月08日 | 日記

戦後間もない頃のお話です

兵庫県豊岡と京都丹後を結ぶ

宮津線という列車は

私らの通学列車でした

私らは豊岡の学校にかよっていたのです。

まだまだ食べ物もなくて

疎開家族の私らは

毎日毎日

飢えておりました

列車の中はいつも

若い声、若い空気でいっぱいでした。

憧れの先輩がいたりして。

そんな中に一人

元軍人の娘で

同級生のAさんがいました

美しく聡明な少女でした

私は間もなく

遠いところに引っ越したので

彼女とはそれっきりに。

70歳になったころ奇跡が・・・

偶然彼女と再会したのです

女医さんになっていました

いや、もう引退した女医さんでした

が・・・

間もなく被害妄想のようになって

音信が途絶えました

会うんじゃなかった・・・

と思いました

あの美しい少女の面影のまま

私の記憶を彩っていてほしかった

けれど

現実はそういうもの

なのでしょうか。