人生の階段ー日々の詩に託してー

ある老婆の日々ーー

家守綺譚

2017年01月13日 | 読書

梨木香歩「家守綺譚」は

ファンも多いようですね。

私は巻頭の1行に魅せられました。

明治か大正時代の「学士」

といえば

今の無数のへなへな「学士」とは

違って

気品と知性に満ちていたから。

その学士の気品ある文章が

幻想の中に入っていき

作者はこれをどんなに楽しんで

書いたことかと。

植物の好きな人にもたまらないかも。

「編笠百合」と「貝母」は同じものだと

知らずに読むのと

知って読むのとの落差は

ありますし

舞台となる「地名」になぜか

不思議な魅力があって

ここがどこかと特定しているファンもいる。

はい、山科という地名はまったく

出てこないのに

ここはあきらかに山科です。

疎水、朽木、湖水、比叡・・・

竜田姫、浅井姫、そして湖水で遭難した友の名が

「高堂」・・・なんだか床しい名前。

主人公の名は「綿貫」。

なんとも魅力的な作品です。