梨木香歩「家守綺譚」は
ファンも多いようですね。
私は巻頭の1行に魅せられました。
明治か大正時代の「学士」
といえば
今の無数のへなへな「学士」とは
違って
気品と知性に満ちていたから。
その学士の気品ある文章が
幻想の中に入っていき
作者はこれをどんなに楽しんで
書いたことかと。
植物の好きな人にもたまらないかも。
「編笠百合」と「貝母」は同じものだと
知らずに読むのと
知って読むのとの落差は
ありますし
舞台となる「地名」になぜか
不思議な魅力があって
ここがどこかと特定しているファンもいる。
はい、山科という地名はまったく
出てこないのに
ここはあきらかに山科です。
疎水、朽木、湖水、比叡・・・
竜田姫、浅井姫、そして湖水で遭難した友の名が
「高堂」・・・なんだか床しい名前。
主人公の名は「綿貫」。
なんとも魅力的な作品です。