Cosmos Factory

伊那谷の境界域から見えること、思ったことを遺します

それでも託すしかない

2016-03-30 21:35:43 | ひとから学ぶ

 「田原総一朗さんや岸井さんらと記者会見しました。他局のキャスター仲間何人かに声をかけたのですが、参加者はあれだけというのが現実です。」とは2月29日にジャーナリスト有志によって開かれた高市早苗総務相の「電波停止」発言に抗議する記者会見についての金平茂紀氏の言葉だ。「あれだけ」とは6名のことで、呼びかけ人は青木理、大谷昭宏、金平茂紀、岸井成格、田勢康弘、田原総一朗、鳥越俊太郎の各氏だった。金平氏は「一昨年の総選挙の前に、自民党が選挙報道の『公平中立』を求める文書をテレビ各局に送りつける、という『事件』もありました。そのこと自体が僕の感覚ではニュースです。でも社内の会議で話題にはなってもニュースとしては扱わない。危機管理ばかりが組織で優先され、やっかいごとはやりたくないということになる。僕はそれが耐えられなかったから、担当の番組でコピーを示し、こういう文書が送りつけられたと伝えた。中には『あんなことをやりやがって』と思っている人もいるかもしれませんが」と言う。これは本日の朝日新聞デジタル「テレビ報道、強まる同調圧力 金平キャスターが語るいま」に掲載されたもの。「朝日新聞がそうですね。とりあえず違う意見も載せておこうと、多様な意見を紹介するとのお題目で両論併記主義が広がっていませんか。積極的に論争を提起するのではなく、最初から先回りし、文句を言われた時のために、『バランスをとっています』と言い訳ができるようにする。防御的な発想ではないですか」と続ける。何より、声を掛けたのに6名だったという現実に、報道は今どうなっているんだと、つくづく感じる。「僕はニュース価値があると思って(高市早苗総務相発言について)担当の番組で発言しました。ところが、発言があったこと自体に触れないテレビ局もあった。自分たちの生命線にかかわる話なのに、ニュースとして取り上げない。えっ、どうしてなんだろうと思いましたね。テレビ朝日の『報道ステーション』やTBSの『NEWS23』『サンデーモーニング』はこの発言の持つ意味も含めて報道していました」(かっこ内は筆者挿入)という。そしてそうした番組のキャスターが3月で降板する(した)。危うい国になったと思うのだが、誰もが思ってはいない。今までにも何度も触れてきているように、もはやこの国はこうした異論に対して金平氏が言うように、まさに『あんなことをやりやがって』と思っている人の方が多いのかも。知人も「新安保法施行」において、「自民党を追い込み、国民主権を取り戻さなくてはなりません。」と言うが、もはやこうした側は赤の世界だと思われがちだ。

 重々解っている。しかし、どれほど解っていても今度の選挙で、珍しくわたしは今までのアンチ自民党を解いて、あえて自民党に加担することになる。それは10の課題があってどれもこれも納得できなくても、たったひとつの目的のために彼らを信用するしかないからだ。我が業界は、かつてあの県知事時代に大きく予算を削られた。一理ある部分もあったが、もはやあの知事は「好き嫌い」で予算の割り当てをしていた。平等性には大きく欠けていたといってよい。そして同じことが政権交代した民主党時代に増長し、あの大物政治家は「○○予算を削る」とあからさまに口にした。使い道の悪い部分が強調されて、「悪」の予算と罵られた。再度自民党政権に政変したが、今もってかつてのトラウマが政治家の中にも、業界の中にもあって、農政の行方は農村の衰退をさらに進めようとしている。しかしながら実際に予算づけをしてくれるところはどこかというたったひとつを、でも我々にとって重大な視点に立つと、あの時代を二度と繰り返してはならないとあえて自民党に席を置く業界関係者に託すしかないのである。当選する可能性がなくとも、我々が支えなくて誰が支えるのか、と。

 業務に近いある(役所)方は、同じようなことを口にする。敢えて言うなら自分たちの食い扶持のためなのかもしれない。以前こんなことを周囲(地元)でも口にする人がいた。「公務員の方たちは表立ってできないから」と選挙からは遠くに身を置くのは仕方ないと。だから敢えてお願いしないが、とばかりに公務員には積極的に選挙のお願いをしない。わたしに言わせれば、公務員はそうした周囲の計らいに甘えている。食い扶持を他人任せで、自分たちはフリーに意思を投函しているのではないか、と。繰り返すが、どれほど非難を浴びせられようと、我が社は我が社のためだけではなくこの国の農村のために意思を抑えて1票を投函する。これはもしかしたら、批判されるべき「組織の論理」かもしれない、が、我が食い扶持のためにだけ言っているわけではない、今を憂えてのことだ。


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