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伊那谷の境界域から見えること、思ったことを遺します

奇石と厄落とし

2022-08-25 23:07:11 | 民俗学

背後の建物が公民館

 

茶碗の欠片のほか空きビンも…

 

 「盆正月」に田畑公民館を訪れた際に、公民館の敷地の東に隣接した道端に「道祖神」が祀られていることに気がついた。「道祖神」の前に木が植わっていて、正面からそれを捉えることができなかったが、石積で組まれた1間四方ほどのところに「道祖神」は祀られていた。そもそも石積された石も、この地方では自然石として捉えられているような石で、それをもって「組まれた」と言っても差し支えないような雰囲気だが、『長野県上伊那誌民俗編』の道祖神一覧には、「奇石らしき石数個あり」と記されている。ここで言う数個がどれかははっきりしないが、「道祖神」の祀られている周辺にもそれらしい石はいくつも散乱している。石がごろごろとあって、どれをもって「奇石」なのかははっきりしない。ちなみに「道祖神」には「嘉永三庚戌十一月 田畑村北割」とある。

 さて、実はこの道祖神の周辺には、たくさんの茶碗の欠片が散乱している。いわゆる厄落としの残骸である。最近投げつけられたものというふうには見えないが、それほど大昔の物とも思えない。欠片の多さからかなりの方がここで厄落としをしていることがわかる。この地域が厄落としの残骸を片付けないためこのようにたくさん散乱しているのか、はっきりはしないが、これほど残骸が残されている道祖神は、最近では滅多におめにかかれない。


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