はじめに
職員のメンタルヘルス、不詳事故の防止という観点から、課長以上の幹部職員による受け持ち職員に対する面接制度が設けられていたのです。
しかし、聴いてみれば、課長の仕事はなかなか忙しく、しかも、中には60人の部下職員に年2回も面接しなければならない幹部もいて、「これをしっかりこなして、結果を面接記録表に記録して決裁にあげなさい」というのもなかなか酷な話であることが分かったのです。
形ばかりの制度を作って、できもしない面接制度をしっかりやれというのも、酷な話です。
そこで思いついたのが、以前警察の幹部の方にお聞きした悩み相談のスタンスをヒントにした新面接の制度でした。
その特徴の1つ目は、一般職員の中から面接官を選んで、この方たちに面接官として力添えをいただくというものです。
特徴の二つ目は、従来、課長以上の幹部が自己の受け持ち職員に面接する運用としていたところを、今後は、面接を受ける職員のほうが誰に面接してもらうかは選べるようにしていくというものでした。一般職員の面接官に面接してもらってもいいですし、直属の上司以外の別の課の幹部に面接をしてもらってもいいわけです。
そして、三つ目の特徴は、面接記録表には面接を受けた職員が希望するところだけ書けば良く、被面接者が上司や周りの職員に知られたくないことは面接記録表に記載しなくていいことにしました。
四つ目の特徴は、被面接者が面接表を記載し提出するというものでした。
しかし、これらの新しい方法を盛り込んだ新面接制度には幹部や本部からいくつかの反対意見や疑問が投げかけられました。(意見の出どころ)
一般職員を面接官に選定することに対する反対意見
一般職員を面接官にすることについて、次のような反対意見が出されたのです。
1・・・一般職員では守秘義務等を守れるか問題がある。(幹部)
2・・・一般職員では職場の運営に関する事項について、責任ある回答ができないのではないか。(幹部・一般職員)
3・・・面接技法や助言指導方法に関する不安。幹部のように対応できるかの問題がある。(幹部)
被面接者は好きな面接官を選んで助言指導を受けられるということに対する反対意見
1・・・人気投票のようになるのではないか。(幹部・一般職員)
2・・・人数が特定の面接官に偏ってしまうのではないか。(幹部)
相談した内容を全て面接記録表に記載する必要はないということに対する反対意見
1・・・職員の不祥事を防止するためには、面接の結果入手した情報は組織として把握しないと対応ができないという問題がある。(幹部・本部)
2・・・相談を受けた職員は、相談した職員との間で秘密を握ることとなり、精神的に極めて辛い立場に立たされるのではないか。(幹部・一般職員)
面接記録表を被面接者に記載させることに対する反対意見
1・・・面接の記録表は、本来、面接官が作成するものと考える。面接官の手抜きと取られて、被面接者と面接官の間の信頼関係が揺らぐのではないか。(一般職員)
2・・・被面接者が面接指導したことと異なることを書いたりしないか。(幹部)
以上のような意見が、幹部や本部からも出されたのです。
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