チーム立ち上げ（その３１・・・もう一人の助っ人、小川係長について）

はじめに
３月末、ついにメンバーが９人揃いました。
さらに、そのメンバーの一人である末松係長は、青本君というバレーボール経験者について、バレー部に入部させるべく働き掛けるという話を持ち出してくれたとのことでした。

私はバレー部結成のために、管理部の職員配置を一手に握っている配置係長の末松さんが協力的であるという、そのことがとても心強く、そして嬉しく感じたのです。

そこで、私はもう一人の助っ人に声を掛けようかと考え、山形君に話をぶつけてみました。
「あと、山形君とこの小川係長にも私のほうから声掛けて誘ってみようかね。彼も、バレーの経験者だろ？」
私も、勧誘に力を入れてみようと思ったのです。
しかし、その件に関する山形君の返事は意外なものでした。
「ちょっと、待ってください。それ、困ります。」

小川係長と青本君というバレー経験者の入部可能性
私が声を掛けるというのに、山崎君が困るとはどういうことだと私は思いました。
「なにが、困るんだよ？」
「それやったら『山崎、お前が磯野さんにいらんこと言うたんだろ』ってなことになりかねません。係長の場合、今、工事関係で仕事も忙しそうだし、バレー部に入るのは無理なのかな…という気もしないではないのです。私の上司ですし、ちょっとやばいかな・・・・と思うのです。」
「じゃ、言わんほうがいいかね。」
「はい、言わないようにお願いします。」
「よし、分かった・・・・青本はどうだろね。」
「青本もですね。末松係長はあんな強気の発言ですけど、結構我の強い所があって、私が話に行った時の印象では入部は厳しいかな・・・という感じです。」
「そか・・・。まあ、仕方ないよね。チームに入っても、遠征の費用の問題もあるし、全国大会に行きたいという気持ちがないとダメでしょ。だから、あまり無理言ってもいかん。」
「はぁ・・・」
「案外ね、バレー経験者と吹聴していて、実際は全然ダメなんで消極的とかもあるんだよ。その辺はそっとしておいたほうがいい場合もある。来たくなるようなチームにしておけば、おのずと近寄って来るから、あまりバレーの技術だけにこだわるな。やる気がある人が集まってくればそれでいいよ。」
「はい、分かりました。」
山崎君はちょっと安心したように返事しました。

今後の展開
新人の中にはやっぱり続けられないという選手が現れるかもしれません。
しかし、一応９人集まったということなのです。
練習を始めれば、おそらく噂を聞きつけて、運動に自信があるという若手が２～３人は集まって来ます。

運動センス抜群で、かつて地区対抗のミニバレーボールに参加したことがあるという鴨下君
そしてアイスホッケーをしている末松係長が加わってくれるというだけでも私と山崎君に大きな勇気
を与えてくれたのは間違いありませんでした。

「山形君。４月１日夕方、メンバーを会議室に集めてくれ。全国大会の話をするわ」
「はい」
「で、できればその週から、練習してみよう」
「はい。でも、練習場所はどうしますか？」

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