ラ・ヴィータ イタリア

イタリア:ベニスでの日常生活やベネチアンガラス工房のお店“L'albero”での出来事、イタリア&海外お奨めスポットなど

製作工程 その④ 特殊技法

2009-11-15 22:57:25 | ラルベロ(店)商品情報
釜からだした厚みのあるペンダント
これをどう削るかによって出来上がる作風も変わってくる

ブローチのようにあまり重みを出したくないときは
単純に薄くカットする 下記写真





厚みを利用してドーム状にしたり、下記写真



回りを5角形や6角形に仕上たり



あえていびつな形にしてみたり




バットゥトとよばれる削り技法で光沢感と艶消しのマットな感じを組み合わせるとモダンな感じになり




究極はさらにそこから進化して“オンダ”に仕上げたりする

“オンダ”とはイタリア語で“波”と言う意味で

ペンダントの表面を波打ったようになめらかに削りしなやかに仕上る
横から見るとガラスの表面がまるで波打ったように見える



うーん、、、、匠の技!

Pinoの作品にはありとあらゆる技法がびっしりとつまっている
全ては紹介できなほど次から次へと面白いものが出来上がる

切る、削る、磨く、全ての工程に彼のファンタジーが駆使される

Pino曰く誰に教えてもらったわけじゃない
若いときからいろいろ試していたら思いもよらないものが出来上り
それを一つ一つ自分のアイデアの箱にためていき
いろいろなシーンで使い分けてるいると、、、、


そして人生死ぬまで勉強と、、、
ガラスはマジック!終わりが無いと言っている

昨日Pinoは無事に日本に到着
最新作、、、、と一緒にやってきた!

一目みて驚いた!今まで見たこと無いのがやってきた

ラルベロデザインだけじゃないぞーって感じか!
“これはKanae 絶対に気に入ると思っていた”という

この最新作はベニスのお店ラルベロでやはり日本人のお客さまがすごく気に入られて
購入したいと言われたらしい

がどうしても日本に持って行きたいのでと丁重にお断りしたらしい

Pino曰くもう一度同じもをつくれるかどうかわからないと
それほど難しかったらしい!
焼いてみないと解からないガラス
この最新作は水曜日から始まる小田急町田店でお見せすることになる

お楽しみに!

製作工程 その③ 磨く

2009-11-14 10:03:18 | ラルベロ(店)商品情報
削り終えたペンダントこの状態では
皆が引き寄せられるベネチアンガラスの醍醐味“光沢”がまったくない

ベネチアンガラスといえば他のガラスではかもしだせない
深い光沢が人々を魅了する

デパートで販売していても時々ショーケースの前を何気に通り過ぎたお客様が

“これは一体何? すごく綺麗! ピカピカに光ってる”

と、そのまま後ろ向きにマイケルジャクソンのムーンウォークのように
戻ってこられる方がいたりする

どうやらこの光沢が人々を引き付けているようだ!

何度も削りで手を入れたペンダント

いよいよこれをピッカピッカにする作業:研磨に入る



専用の研磨機でドロのようなものを用いて磨いていく
Pino今度は土いじり、、、




この状態でこれが本当にピカピカになるとは信じがたいが
繰り返し磨く事でそれはそれは深い輝きを放つようになる

この作業をしたあとは細かい埃が飛び散り

ベニスのショップ ラルベロ の中はあっと言う間にほこりだらけになる

この埃が店の商品の上に火山灰のようにつもり

光沢のある商品がつや消しのようになってしまい、、、

売れ行きが落ちてきて、、、掃除に追われるということになる、、、、、

こうして店中をホコリだらけにして研磨されて出来上がったペンダント 
最終仕上げをして金具をつけて出来上がる



このペンダントは一番シンプルに仕上げた状態

次回は削る作業にもう一段階手を加えた削る技法について
紹介したい

製作工程 その② 削る

2009-11-13 12:05:25 | ラルベロ(店)商品情報
ラルベロスペシャルペンダントの製作工程

2回目の釜出しから出てきた相当厚みのあるペンダント

まずはこのペンダントをまたまた例のダイヤモンドカッターで
今度はドーム状に削っていく



削り始めは表面をまず前回同様切って綺麗にする

そしてドーム状に削り始める




前回の切る作業より手間も時間もかかる

そして飛び散るガラスの破片も大きくなり
時々頭に刺さったりしている、、、
Pino血まみれ、、、まるでホラー、、、ちょっと大げさ!

それでも彼は気にせず削り続ける
切っている時は必死で刺さったガラスには気がついてない

何度もバランスを確認しながら根気良く削り続けて
最終はこんなドーム状になる



すこし立体感がでてきましたね

次に今度はヤスリのようなベルトでさらに表面を丁寧に滑らかに削っていく



これで削りの作業は終わり、かなり完成品に近づいてきた!



どうでしょう!この立体感!
木が浮き出てきました!
ラルベロスペシャルはやっぱりこうでないと!

こうして一つ一つ思いを込めながら仕上げていく

作業中よく“Kanae! 見て! すごく綺麗だ!”
“わーKanae! わーすごい!”
1人でよく叫んでいる、、、このときの彼は本当に子供のように無邪気だ!

そのたび私は作業の手を止め仕上げ途中のペンダントを見ることになる

彼にとってこの切る、削る、作業は
楽しくて楽しくてしかたがないらしい

こんなPinoを見てると本当に幸せな人やな~と思う
世の中本当に自分の好きな仕事し、それで食べていけてる人が一体どれだけいるのか?

まだまだ作業は続く
続きは次回

製作工程 その① 切る

2009-11-12 09:50:38 | ラルベロ(店)商品情報
ラルベロの看板商品ラルベロスペシャルペンダント

このペンダントはPinoの何十年と渡るガラス職人歴の中で培われた
様々な技法がめーいっぱい詰まっている

何故このペンダントがこれほどまでにお値段がはってしまうのか、、、、
これから数回にわけてその製作工程を簡単に書きたいと思う

まずこのペンダント一番最初に中心になる木のモチーフ部分をつくる

工房開設以来30年かけて集めたミッレフィオリを彼独自の色あわせでデザインしていく

これだけ長くお店をオープンしているとありとあらゆるところから
珍しいガラスがこの工房に集まってくる

特に昔ガラスの仕事をしていたお年寄りの方が残っていた古いガラスを
買い取って欲しいとラルベロにやってこられる

この古いガラス、、、今では手に入れられないすばらしいものが沢山ある

私たちにとってはのどから手が出るくらい貴重なガラスがあったりもする

木のモチーフにデザインしていく工程ははデパートでじっくりご覧いただける

出来上がったデザインを電気炉の中にいれ木の部分が歪まないように丸く円形に焼き上げる

次に釜出してダイヤモンドカッターで断面を綺麗に切る

この作業見ているだけで私は怖い!下記写真



小さなガラスをぬれた手で支え滑らないように切っていくのは至難の業
うっかり手元が水で滑ったらガラスどころか指が切断、、、、
あー怖い!怖い!、、、、もうこの段階で私には一生かかっても修得できない技だと思う

それに切っている間に飛び散る小さなガラスの破片
時々目に入ったーというのを聞くと、、、えーと心臓が止まりそうになる
必ず保護用のメガネをかけて言っているにもかかわらず
めんどうなのか、かけてないことが多い、、、

お願いだからメガネかけてー!失明してからでは遅いよ!といつも私は言っている
で、きれた断面がこれ



よくお客様に言われるのが“切って1個から2つ作れるでしょ?”

いやいやそれは無理でして、、、切断された二つのガラス
よく見ていただくとわかるが左右厚みが違う
ガラスで立体感を表現するには後でこの厚みがとても重要になってくる


さらにまたこれを鉄板の上に置き、周りをデザインしていく



そしてまた電気炉で焼き上げる一旦円形にととのえ



長年のカンでどんどん縮小していく、厚みがさらにでてくる



次に楕円形に整えていく




うまく楕円にしないと真ん中の木が歪んでしまいまっすぐ伸びた綺麗な木に仕上がらない

そして2回目の釜出しでできたのがこれ



相当厚みがある、、、この厚みがスペシャルバージョンには欠かせないのだ!

この続きはまた次回!


ラルベロ 新作

2009-11-09 11:41:02 | ラルベロ(店)商品情報
日本に帰ってきてからあっという間に3週間がたってしまった
ガラスでまみれた部屋もやっと元にもどりつつある

今週土曜にいよいよPinoがやってくる、
ベニスはもう冬のような寒さらしい

今回の来日にあわせて最近仕上がったご自慢の飾皿を持ってきてくれるはずだった、、、、
本人曰くすごく綺麗に仕上がったらしい

が、、、、これもまたそうそうに売れてしまったらしい!
やはり日本のお客様だったそう、本当に日本人は彼の作る作品をよく気に入ってくれる
あーどんなふうに仕上がったのか見ることもできなった!
でもお皿が日本人に購入していただけるのは本当に嬉しい

18日から小田急デパート町田店で始まる実演販売

今年はラルベロ(木のモチーフ)の小さいタイプが充実している
スペシャルバージョンはどうしてもお値段がはってしまうが小ぶりは
お値段も控えめに頑張ってみた

こんな感じ!



中でもこのラルベロが横長になった新作


“このー木何の木?気になる気になる木”って言うコマーシャルを思い出す

お客様の中にはこのラルベロシリーズを見てると“幸せな気分になる”
おっしゃる方もたくさんいらっしゃる

嬉しい限り!沢山幸せを感じてもらえるようPinoには幸せな気分で製作に励んでもらいたい!
やはり製作者が幸せでないとできてくる作品も幸せを感じてもらえないだろう!


そしてラルベロスペシャルバージョンも例年通り新作を沢山用意した
これ私の一番のお気に入り



和のイメージがして着物を思わす
中心にあるアヴェントゥリーナは現代のガラスではなく昔の古いアヴェントゥリーナを使っている

一見同じようにみえるけど現在のものと較べるとすごく違いがわかる
輝きが深くて美しい

外側のデザインは非常に珍しい三角形をしたミッレフィオリを使用した
彼独自の技法でこんなふうに表現してみた

この2点の古いガラスを手に入れるのはもう今では不可能

こしてラルベロだけの素敵な作品を貴重な古いガラス材料を使って
毎年少しずつ作り続けている

何時の日か個展ができればと、、、、

特に今回初登場するのが
金具にシルバーを使用し24金メッキした枠付のブローチ



小ぶりだけどなかなかかわいらしい

本当はペンダントの金具を全て24金メッキしたいところだが
材料費を考えるとそうもいかない

でも今後お財布と相談しながら
少しずつゴールドメッキした商品を増やして行きたいと思っている