生きとし生けるものへ
あらん限りの声持って
叶わぬ夢とは何か
審美の眼は語った
妙なる光のもと
湖沼で見たものは何か
美を求む業への償い
故の儚さ 哀れを
リュートは響く
あなたを運ぶ
天空の守り神の元へ
リュートは響く
零落の風は吹く
そして影のみ残る
愛される故に躓く
神の寵愛のもと
穢れる前に消えるのです
慈しみという光の中
人は夢から夢へと渡るのです
そこには湖があり
その時 湖水は揺れるのです
それは絵です
私は立ち止まる
けれど語れない
それは絵
私はそこに
そして 語れない
秋は春の生まれかわりなのだろうか
枯葉は漂う
新芽の頃を思い出し
生から死へのドラマを
枯葉は夢を見る
枝から離れ地に落ちるまで
そして この一時を
人は回想と言うのだろう
救いの風が吹くにせよ
あえて言うことはない
それは 故にだから
無と言う河を越え
たゆたゆと舞い
いつしか それは蝶になる
そこに落ちた髪の毛が
お前の顔を
いやす温もりを
続く淋しさを伝える
慰めることしか知らず
奪われるだけ奪われても
仕方なく笑い
これで いいと言う
春が好きだと言い
別れるのは春がいいと言う
せめてもの誤魔化しが出来るから
そして この髪の毛に
物語を知る髪の毛に
しがない真実を見た
そこは和蘭
赤と白と青の国
飛ぶ鳥 大空我がものに
辿り着くは原色の世界
ゴッホの空間
プリズムの反射
巷の風も穏やかに
直線の悲しみ
光の交差
見えない花火は散るという
帰らざる光
せめて懐へ
あるいは この国へ
ジプシー踊る
片目閉じる
そこに 音楽が
消されぬは命の炎
灯火は語る
片目笑う
そこに 音楽が
いつの世でも煌々と
永遠を照らすもの
そして 帰らぬもの
そこに 音楽が
そこに 郷愁を
そして 帰らぬもの を
かつての巴里は 今どこに
きらめきの裏には何がある
街路をさ迷う高踏派
虚栄の街と嘲笑う
そして思いはノスタルジア
新たな意匠あるなか
シンボリスムの鐘鳴らそうと
ボードレールらはよぎる
すぎ行く風は昔を運ぶ
色んな思いのせ
漆喰の空
人は集まり笑う
何の為に あるいは・・・・
その音は響く
見詰めれば 清く 儚く
見詰め返す目はそこに
サモワールの明かり
二人は物語となる
あたえられた空間の中で
影はいつも一つ
そして時を刻む
ほのかな明かりを灯そうと
いつもそうであるかのように
異国の風なびかせ
お前は笑う 青い目で
あるのはロシア的なもの
そして走馬灯
二人の想いも 駆け廻る
虚無を知ろうと
憂悶の淵に流されようと
ワーズワースに帰りたい
明日が見え過ぎて憂えるより
昨日を悔やんで俯くより
この 今に浸かりたい
自然に帰りたい
わからないと
何もかも わからないと
そう言い得る勇気がほしい
そして夢を見る
踊るはニンフ
そこには 私も
悲しき出来事 見詰め過ぎ
忘れさす涙も枯れてなく
愛しき影はどこに
ひび割れた心は そこに
永久までの願い折れようと
現世は何れ 儚いもの
あるいはそれでいいと
彼の人は言う
演じる為のこの世なら
たとえそうでもいい
それが狂気であろうと
浮かれ唄 流れるがよい
時空を超えるがよい
そして 昇華のあらんことを
囀りという光満ちるなか
疲れた心を晒し
茜に染まりたい
目には粒子舞い
時空を越えるも出来ると言うが
脆弱故のこと
刹那と刹那を渡れない
時という慰めのなかで
暫しの猶予のなかで
縺れた糸を直したい
絵画的でもいい
単調な調べを恋う
ほかに 何がある
過ぎ行くしか知らない 時に
何を望もうというのか
この呪縛に向かって
美を無に化し
レーテまで纏わってく 時よ
優しさとは何か
お前の顔が見えるなら
そして操る者がいて
操られる者もいる
影はどこまでも分身であるように
ああ 言うまい
それは私だと
ジュノーに誓って言うまい
あなたの意のままに
見えるように見え
見えぬようにも見え
ごろうじろ お気に召すままに
その目で見るから 見えなくて
あの目で見るなら 見えるかも
わかろうとするから わからなく
わからないということが わかるもの
泡沫の恋であろうと
アーデンの森では実るもの
みんなも そこへ行けばいい
笑った顔や泣き顔が 梢と梢で見え隠れ
そうはそうでもあなたはあなた
お気に召すままに