そこで資源エネルギー庁は見通し小委に対して、火力・原子力の燃料費と、
FIT買取総額を合わせた、いわゆる「電力コスト」を、2013年9.7兆円から
5%程度削減し、9.1~9.5兆円にするというロジックを提出した。
これは太陽光バブルを収束させるために決定的な役割を果たす。
FIT等による再エネの年間買取総額は2030年段階で3.7~4兆円とし、
その内訳は、まず地熱・水力・バイオマスの買取総額(約1.0~1.3兆円)を
決め、残り2.7兆円の中で太陽光(2.3兆円)、
風力(0.42兆円)としている。したがって、特に太陽光バブルによって、
膨らんだ太陽光の買取総額について、
我が国が再エネに支払える総額の中から上限を示したことは評価できる。
3月の駆け込み1600万kWにより、累計1億kWに迫る太陽光認定しかし、
買取総額は今年度既に1.8兆円を超えており、2.7兆円に抑える制度的な
担保は何もない。見通し小委で示された資料をもとに、私が推計すると、.
太陽光の設備認定は、今年3月の1カ月間だけで非住宅用太陽光は約1600万kW
もの駆け込み認定が行われ、住宅用と合わせて累計約1億kWにも達している。
この数字は、見通し小委において「認定量のうち、運転開始まで至るのは、
住宅用は認定量の9割、非住宅用は報告徴収・聴聞の結果を踏まえ6割が、
導入」としていることから、認定量の2月末実績値から逆算し求められる。
(後述するように「認定6割が、運転開始」の根拠は示されていない)。
つまり、FITが導入された2012年7月以降、768万kW(13年3月)、2653万kW(14年3月)、
そして約1600万kW(15年3月)と、3年連続して年度末に駆け込み認定が生じたのである。
この駆け込みは、我が国では認定時点で買取価格を確定させていたため生じている。
買取価格の適用時期には、設備認定時点、電力会社との系統接続の契約時点、そして
設備の運転開始時点の3つの段階がある。
我が国ではこの中で一番早い設備認定時点で運用されていたが、ドイツ等の主要な
FIT導入国は運転開始時点としている。
続く