「もののけ姫」という映画で、宮崎駿はサンカをはじめとする人々を描いたようである。
サンカとタタラ族との深い繋がり、もののけ姫の名前がサンという事とアシタカという名から連想される先住民、彼らがハンセン病患者達を助けたという事実がそれを考えさせるのである。作家の椋鳩十は、自然に生きる漂泊民として詩情豊かに描き、自由に生きる人間の原風景を呼び起こした。「戒厳令の夜」「風の王国」など五木寛之の作品では、国家の規制を超えて独自の文化をもち、管理社会の下で閉塞した状況に風穴を開ける集団として登場している。中島貞夫監督の映画「瀬降り物語」(85年)では、山々を流浪する孤独な生活を萩原健一が好演した。
サンカと呼ばれる人々はハンセン病や色んな事情があって山に逃げてきた人たちをとても良く面倒みたりもした。今の破壊された地球において、自然を愛し共生する自発的貧困とも言える質素、簡素、素朴な生活を送り、真の豊かさを知り、自由で矜持高く、弱きものを愛する事のできるサンカこそが、今の日本に一筋の光を差す、真の生活を送っているのかもしれない。
つづく
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