言葉の幾つかは集団固有のものを用い、それを兵庫県地方ではサンショコトバといっていた。
サンショとは中世の(さんじよ)に当たると推定されている。サンカ同士は、伝令やサンカ文字に
よる手紙で常に連絡を取り合っていた。
生業
サンカには大きく3つの職種がある。ミツクリは箕(み)作りで、竹細工系の仕事。フキタカは笛作り、
琴作り、茶筅(ちゃせん)作りなど、楽器や芸事の道具製作で他にも籠(かご)、簑(みの)、笠(かさ)、
下駄(げた)などの細工物を作る。里におりて食料その他と交換した
エラギは猿舞い、獅子舞、猿楽、白拍子、くぐつ、などの遊芸である。彼らは、漂泊の旅をする遊芸の
民だった。歌舞伎(かぶき)は出雲の阿国という女がはじめたと言われている。
サンカの伝承=コトツによれば、この阿国がサンカだったというのである。このようにサンカは、芸能や
宗教などにたずさわった者と根をひとつにするようだ。
この他にイツモリ=五守という分類もあり、山番などの労務関係の仕事がある。ヤシナド(ヤシナ)と、
いう分類には、竿(さお)屋、ふいご屋(いかけ屋)、研ぎ屋(するど・刃物砥ぎ)、トベナイ(呪・占い師)
が入る。蝮捕はサンカの誰がやってもいいとされる仕事で、取った蝮は生きたまま蛇屋に売る他、
調味材料、副食などの食用にした他、保健剤、外傷剤としても使われたという。川漁にたずさわる集団も
多かった。山中の川のそばでユサバリをしてセブリ、川魚や山菜を取りながら、転々と移動した。
非農業系の仕事のかなりの部分がサンカなのだ。
ウメガイとテンジンが代表的なサンカの道具で、サンカの証明ともなる重要なものだ。ウメガイは、
両刃の小刀で、サンカの象徴的な仕事である箕(み)作りで竹を細工するのに使われる、サンカに、
とっては最も大切な道具である。また、時には護身用に使用される。テンジン=天人はウメガイとともに
サンカを証明するもので、ウメガイよりも大切にされる。マガクモ=ニセサンカがウメガイを持っている事
は許されても、天人を持つ事は絶対にゆるされない。
つづく