リョウブ(リョウブ科)
里山では、7月、クリの花が終わるころから穂を出し始めます。樹肌が特徴的なのですぐにみわけがつきます。
シカがこの木の皮をはがして食べてつるつるになっているのを見かけます。
北海道南部から九州にかけて、山地に自生し、高さ 8~10mになる落葉小高木で、葉は枝先に集まって互生し、先は鋭くとがり、ふちに鋸歯があります。花は枝先に小さな白い花を穂状につけ、甘い香りを放ちます。
リョウブ(令法)という名前は、平安時代、若葉が食用になることから救荒食料として乾燥保存し、飢饉に備えるよう「令法(りょうほう)」が発せられたことに由来します。それが、転訛して“リョウブ”となったと言われています。
花の様子から「竜尾」のように見えることから、リョウブとなった説もあります。
古い時代には「ハタツモリ」と呼ばれていました。語源ははっきりしないようですが、意味は「畑つ守」(畑を管理する人)です。
平安中期の和歌に
「いまよりは み山がくれの はたつもり 我うちはらふ 床の名なれや」 能因法師
<意味>失恋した能因法師、その女性からリョウブの枝を送られて「これからは深山に身を隠す「畑つ守」です。贈って下さったハタツモリ(リョウブ)の一枝は私の一人寝の床の塵を払う名でしょうか」と詠んだ歌です。失恋して坊主になるとは・・・
語源ははっきりしないと述べましたが、「ハタツモリ」について、牧野富太郎氏は、白い花がたくさん咲いているのを白い旗が積もっているようだとして、「旗積もり」の説をのべています。
樹皮はサルスベリやナツツバキのように樹皮がはがれ、斑になるのが特徴です。
4月中旬ごろ、リョウブの芽。
枝の先端に伸び出した数センチのリョウブの芽立ちは、美しく、生け花の材料にも使われます。
この若芽、3~4cmに伸びたものを天ぷらや味噌和えにして食べるとおいしいです。
また、若葉を一緒に炊飯したものを令法飯(りょうぶめし)として戦国時代から知られています。
救荒植物の利用として、湯がいて干したものを屋根裏に保存しておきいざというときに使ったといいます。
木は大きくならないので柱にはなりませんが、材が緻密なので、床柱や器具材などに使われました。
良質の木炭の原料になりました。
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