ぶらつくらずべりい

短歌と詩のサイト

通じる何か

2022-04-03 10:24:00 | クンストカンマー(美術収集室)短歌
とりどりの色の折鶴 内側の白さを晒すことからはじめ(砺波湊

鶴を折る時の発見。
発見が時に他の何かに通じていることが往々にしてある。
「内側の白さ」は折り鶴にも人間にも通じていると思う。

優しくなる

2022-04-02 07:20:00 | クンストカンマー(美術収集室)短歌
だれもみなやはらかさうな唇をしてやさしくなりぬ「ふゆ」と言ふとき(楠田よはんな)

作者は「ふゆ」と言う人に「やはらかさうな唇をしてやさしくなりぬ」と感じた。

実際に言ってみて欲しい。
優しくなる。
短歌でなければ、なかなか表現出来ない日常の感受性。
僕の世界は孤独では少しだけ無くなる。

ひらくかもたれるか

2022-03-31 07:19:00 | クンストカンマー(美術収集室)短歌
ゆえにまだやれそうであるメンチカツに条件反射でひらく舌先(古賀大介)

「メンチカツ」。
20代の頃、好んで食べた。
けれど、今はもうその名を聞くだけで条件反射で胃がもたれる予感。
「ひらく舌先」である事が、1つのバロメータなのだ。

星座の生まれる夜

2022-03-29 05:57:00 | クンストカンマー(美術収集室)短歌
きみの背にほくろの星座みつけたり世界が終はるならこんな夜 (橘夏生)

夜を共にした後、背中に見つけたほくろ。
ほくろを繋ぐと星座になった。
そこまでなら、とても幸せな気持ちになりそうだが、作者は「世界が終はるならこんな夜」だと感じる。
人は大きな幸せを前にすると恐れを感じる。
手にしたら瞬間から失うことを予感する。

やっぱりきみが好き

2022-03-29 05:49:00 | クンストカンマー(美術収集室)短歌
きみが好き きみもいちばんきみが好き ふたりでゐてもあまるわたくし(真狩浪子)

「好き」以外は平仮名。
誰が「わたくし」を愛してくれるのか。
恋愛にも勝者がいて、敗者は苦い思いをする。
けれど、敗者にしか味わえない恋愛の味がある。